2014年は「東アジア文化」元年? デジタルアーカイブ推進の法整備も
2014年は「東アジア文化都市」元年ーー。新しい年が幕開けた今年は、文化政策的にもいろいろな取り組みが始まり、注目を集める年になりそうです。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芸術・文化政策センター長、太下義之さんに、2014年に動きを見せる文化的なトピックを紹介してもらいました。
ヨコハマトリエンナーレ2014(8月開幕)
8月1日から11月3日までの約3か月間、横浜市で「ヨコハマトリエンナーレ2014」が開かれます。この催しは、横浜で3年に1度行われている現代アートの国際展ですが、今回のトリエンナーレがなぜ注目かというと、「東アジア文化都市」の特別事業として開催されるからだと太下さんは説明します。 「東アジア文化都市」とは、2014年から始まる大型の文化事業で、東アジアとは日本と中国と韓国の3か国を指します。3か国のどこかの国で毎年1年間、現代芸術や伝統文化など文化交流のイベントを行います。今年はこの事業の最初の年なので、日中韓3か国3都市で同時開催します。韓国は光州市、中国は泉州市(福建省)が選ばれています。来年以降は、2015年は中国、2016年は韓国というように持ち回りで開催されることになっています。 東アジア文化都市の開催意義について、太下さんは「東アジアの文化的な共通性をもう一度確認し合いましょう、ということです。3か国は、例えば漢字文化とか、食文化、儒教の影響が強いなどの共通性あります。もう一つは、一方でお互いの文化的な多様性を確認しましょう、ということ。東アジアでは歴史的にもいろいろな交流があるが、その中でも、日本らしさ、中国らしさ、韓国らしさという違いがある。そういう2つの目的があります」と説明します。 折しも、昨年末に安倍首相の靖国神社参拝があり、また尖閣や竹島の問題もあるなど、東アジアの関係は現在、政治的に逆風が吹いています。しかし、だからこそ意義があると強調します。「この3か国は今、歴史上でもワーストに近いくらい政治的な関係は良くない。アジア文化都市は、もともとは鳩山由紀夫元首相が提唱していたもの。今はこれだけ政治的関係が悪いし、経済的にもWinWinになることも難しい。今は文化交流しかやることはないともいえるので、逆に意義ある事業として登場することになりました」。 東アジア文化都市の事業が、来年以降もずっと続いて行くと、東京五輪が開かれる2020年に、日本で開かれる順番になります。太下さんは「そこで開催することができたら、すごいこと」と語ります。「それはつまり、今より政治的な関係が悪化しないということだし、さらに言えば、武力衝突が起こっていないということ。2020年までこの事業が続いていたら、3か国の平和が保たれていたということなので、私は『ノーベル平和賞』に値するのではないかと考えています」。