霊はいつもあなたを監視している?映画『新・三茶のポルターガイスト』豊島圭介監督と角由紀子に聞く
気温の上昇とともに世間で盛り上がりを増していくのが、ホラーやオカルトの世界。まさに夏真っ盛りのホラー日和がつづくいま、ゾッと寒気を感じたい読者におすすめしたいのが、『新・三茶のポルターガイスト』というホラー映画だ。 【画像】角由紀子 本作は、東京・三軒茶屋の心霊スポットに潜入取材した様子を描いた心霊ドキュメント『三茶のポルターガイスト』の続編であり、出演者の角由紀子さんが徹底的に霊現象を検証していくドキュメンタリー映画となっている。 心霊現象と聞くと郊外の廃墟ビルなどを連想するが、この映画の舞台は東京・三軒茶屋のど真ん中。インタビュー内で角さんが教えてくれた「じつは渋谷のスクランブル交差点みたいな人混みの方が霊が多いんです」という話も印象的だったが、はたして私たちの身近に心霊スポットなど存在するのだろうか? プロデューサーでもある角さんと、監督の豊島圭介さんに、映画の制作背景はもちろん、身近な心霊現象や霊との向き合い方についてもインタビューを行なった。
100年に1度出会えるかどうか。オカルトクイーンが衝撃を受けた物件へ
ー今作は、前作『三茶のポルターガイスト』の続編にあたるドキュメンタリー映画になっています。まだ前作を見たことがない人も多くいると思いますので、まずこのドキュメンタリーをつくろうと思ったきっかけを教えてください。 角由紀子(以下、角):一番最初に取り上げた映画は、『怪談新耳袋Gメンラスト・ツアー』です。その映画を通してヨコザワ・プロダクションの存在を知り、「これは100年に一度会えるか会えないかのすごい物件だ」と実感しました。どうにかして世間に広めたい。そんな思いから制作はスタートしました。 ーヨコザワ・プロダクションは、どういったところが特別なのでしょうか? 角:ヨコザワ・プロダクションに行けば、かならずと言っていいほど物が動いたり、お線香の匂いがしたりします。いわゆるポルターガイスト現象ですね。だいたい3回に1回は大きな現象を捉えることができる、きわめて稀な場所です。 豊島圭介(以下、豊島):たいがいの心霊スポットは、それなりのいわくがあります。何かの事故や事件があったりして、その当時の人が亡くなられたときの格好で霊となって出てくる。そうして心霊スポットと言われる場所ができて、そこに人が訪れる。私も数多くのスポットに行っていますが、大概の場合は見ることができません。だけど、ヨコザワ・プロダクションは、ほんとうに色々な現象が起きるんですよ。 ー前作では映画のなかで明らかに人の手が映っていたり、今作ではさらにすごいものが映ったそうですね。私は正直「これはヤラセなのでは?」と思ってしまうタイプなのですが、そんな意見についてどう思いますか? 豊島:映像に関して何か言われること自体は僕は歓迎していますし、そういう議論や賛否両論が生まれる映画ができたら良いな、と思って始めたところもあります。 そして私は、撮影場所のヨコザワ・プロダクションのオーナーである横澤さんや、霊現象を検証している科学者とのバトルを客観的に見る立場でもありました。「嘘か本当か」という結論を出すためにつくった映画ではないですね。それをロマンといったらそうなのかもしれないです。 ー今作の上映前に配信された生放送でも「今日は映らないのかな?」のような疑わしい発言をしていましたが、それもあえてなのですか? 豊島:それで言うと、横澤さんが映画の中で「もっと凄いものを出してほしいな」なんて言うんですよ。もし横澤さんが仕掛け人だったとすれば、すごいウカツな発言だと思いませんか? 逆にそういった危うい発言も信憑性があったりするし、こんなスキのある発言をする人なんだ、というパーソナリティも面白いですよね。 ドキュメンタリーには、映っている人が面白くないと成り立たない特性があると思うんです。そんな横澤さんという稀有な存在と学者さん、角さんやその他登場している人も含めて、心霊現象をめぐるドキュメンタリーになっているんです。そんな意図があって、あえて発言を残すことにしました。 ー前作も今作も、科学者やマジシャンなど、いろいろな人が出演して「本当に心霊現象が起きているかどうか」の検証をしています。それはやらせではないことを証明したかったからでしょうか? 角:そもそも私のなかでは、「嘘か本当か」の検証は前作で完結したと思っていまして。今回はヨコザワ・プロダクションで起きる現象にクローズアップして、現象が起きるタイミングや床や壁から出てくる白い手の物質は何なのか? というところを調査したかったんです。もちろんそれをやることで、ヤラセじゃないということも自然とわかってくるとも思いますが。 豊島:これは本作の見どころの一つなんですが、検証してくださった科学者の方とのバトルが描かれているんです。それは「やらせではない」と思う我々と、「やらせだ」と言う科学者とのバトルですね。もともとは、依頼した科学者も「何か発見できたら論文に載せます!」と言ってくださっていたのですが、結果的には検証が甘いとお叱りをうけてしまいました。詳細はぜひ映画館でご覧になってほしいです。