パワハラ上司に取り入る「太鼓持ち社員」が組織を壊す…パワハラを叱責することで起きる恐るべき副作用
■太鼓持ちがチームをつくり上げる 太鼓持ちは、周囲の人たちに好かれることはありませんが、パワハラ行為者と周囲の間をソフトに取り持ったりするので、皆はパワハラ行為者と直接やり合うよりは、この太鼓持ちとコミュニケーションを取る方がマシと感じ、その存在を受け入れるようになります。 そうして(この太鼓持ちがいることで)パワハラ行為者の元にも、部下や後輩として居付く人たちが出てきます。 本来、パワハラ行為者には部下などは居付きにくいのですが、太鼓持ちはパワハラ行為をしないこともあって、太鼓持ちの存在が、パワハラ行為者を上司としたチームをつくり上げていくのです。 ■我慢の限界が訪れるチームメンバー しかし、如何せんパワハラ行為者と、その太鼓持ちによりでき上がったチームには、不自然かつ不可解なことが数多く生じ、誰もがそれを感じ取るようになります。 パワハラ行為者のすることが、太鼓持ちによって、一見パワハラには見えない姿になって、チームのメンバーに強制されるためです。 たとえば、パワハラ行為者の「ある従業員に普通の仕事を渡さず、ややこしい仕事だけを振る」という行為――これを太鼓持ちが巧みに嘘を交えた説明をしながら、うまくその従業員に押し付ける。パワハラ行為者と太鼓持ちは、その従業員が苦労するのを見て楽しむ。二人は、その従業員をだまし、いじめていることに喜びを感じ、一緒にガッツポーズをしているといった具合です。 被害者となった従業員は、早々と二人の魂胆に気づいているのですが、どうすることもできず、士気を失っていきます。 こんなことが繰り返され、結局のところは、その体質に嫌気がさして、チームのメンバーに我慢の限界が訪れるのがオチです。 こんな職場では、相談者の方が言われるとおり、従業員が泣き顔で仕事をしているものです。 パワハラ行為者が持っている毒が、怒鳴り声や癇癪から形を変えて、組織内に撒(ま)き散らされているのです。 チームのメンバー以外の従業員も、この様子に呆れ、こんな状態が野放しにされている自分の職場への忠誠心を失っていきます。