岩渕真奈と町田瑠唯。女子サッカーと女子バスケのメダリストが語る、競技発展とパリ五輪への思い
東京五輪で女子バスケットボールと女子サッカーの話題の中心となった岩渕真奈と町田瑠唯。同じ1993年生まれの2人は、10代から競技のトップレベルで活躍してきたそのキャリアにおいて、さまざまな共通点がある。その一つが海外挑戦だ。昨年現役を退いた岩渕は、ドイツのバイエルン・ミュンヘンやイングランドのアーセナルなど、海外の5クラブで計8シーズンプレー。一方、町田は東京五輪後の2022年シーズンにワシントン・ミスティクスと契約、4人目の日本人WNBAプレーヤーになった。海外挑戦を通じての成長や競技の“本場”で経験した環境面の差、WリーグとWEリーグの発展へのアイデアや、今後のキャリアプランまで、幅広いテーマで話を聞いた。 (インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]、撮影=大木雄介)
海外挑戦でつかんだ糧と自信
――岩渕さんは19歳の時にドイツに渡り2つのクラブでプレー、2020年以降のラスト3シーズンはイングランドでもプレーしました。町田選手は2022シーズンに女子バスケ最高峰のWNBAでプレーしています。それぞれ、海外挑戦でどんなことが自分の糧や自信になったと思いますか? 町田:私はもともと海外に行くことは全然考えていなかったので、オファーをいただいてチャレンジしたのですが、コート上での視野が広くなり、パスの種類やバリエーションも増えて、ピンポイントで出すパスも含めてプレーの幅が広がった実感があります。アメリカは日本と比べても大きくて強い選手ばかりですけど、現地の選手やコーチから「小さいけど、大きい選手にも当たり負けしないフィジカルの強さをもっているね」と言われたことはすごく嬉しかったですし、それは自信になりましたね。 岩渕:私は、フィジカルでは勝てたことがないですよ(苦笑)。でも、技術だったり、ボールを早く放したりすることでかわせますし、そういう部分では戦えていたと思います。自分にとって最終的な目標はいつも「なでしこジャパンで勝ちたい」ということだったので、世界のトップクラスのディフェンダーや選手たちと日頃から戦えたのはすごくプラスになりました。日本と海外ではサッカーの種類が違うと感じていたので、その中で揉まれたことは間違いなく糧になったと思うので、だからこそ若い選手たちには「チャンスがあるなら行ったほうがいいよ」と伝えてきました。 ――お二人のように、代表で実績を残して海外でプレーする選手が増えたことで海外挑戦への道も開かれてきていると思いますが、短期間でも挑戦することに意義があると思いますか? 岩渕:あると思います。海外の生活が合う・合わないもあるし、監督だったりチームメイトがいてのものなので、その環境が「違う」って思えば帰ってくればいい。それでも、一回経験することで得られるものはたくさんあると思います。 町田:私も、同じように「行ったほうがいいよ」と伝えます。本人に興味があって、チャレンジするか悩んでいるなら、したほうがいいと思います。