「お母さん、ごめんね...」母子家庭の娘が心配した母の病状は「うつ病」。そのサインを見逃してしまった娘の苦悩とは
「更年期離職」という言葉をご存じだろうか。日本人女性の平均閉経年齢である50歳の前後5年間、45歳から55歳の10年間とされる更年期に出やすいさまざまな心身の症状の影響で、働くことが難しくなりやむを得ず退職することを指す。更年期の女性の問題に精通している、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は言う。 「 また妊娠…?」不仲なのに次々子供を出産…もしかして多産DV?増殖し続ける従兄弟家族に恐怖を感じたわけ。 「NHKが行った「更年期と仕事に関する調査2021」によると、更年期特有の症状を自覚し、その症状が原因で不本意にも離職せざるを得なかった女性は9.4%、約46万人いると推計されてい ます。更年期の症状が強く出る人の場合、日々症状の程度が変わり不安定な体調が続くため、徐々に自信を失っていくことも少なくないのです。更年期離職の理由として、自身の体調への不安だけでなく「職場の人に迷惑をかけたと思った」と自分を責める傾向がみられます」 竹田えりさん(仮名・49歳)は、幼少期から母親と二人で暮らしてきた。30代で夫を亡くし「シングルマザー」となった母親は、文字通り朝から晩まで働いてえりさんを育て上げた。一人で夕食を食べることも、参観日に母親が来ないことも、えりさんにとってはいつものことであり寂しいと感じたことはなかったという。
「母と顔を合わせるのは、朝起きて学校に行くまでの1時間と、日中の仕事を終えていったん帰宅する夕方の2時間だけ。学校のことや友達のことをいつも聞いてくれる母でしたから、私にとっては短くても楽しい時間でしたね」 えりさんも母親を助けようと、中学生になった頃から家事を進んでやるようになった。母と娘で営む二人三脚の生活。それが少しずつ崩れ始めたのは、えりさんが社会人になって3年ほど経った頃だった。 「いつも朝食を一緒に食べていたのですが、母が食べない日が少しずつ増えてきたんです。初めは『ダイエットよ』と冗談ぽく言っていたのに、だんだん『今日は頭が痛いわ』『昨日あまり眠れなかったのよ』などと言って、私が会社へ行くまで椅子に座ったままの日もありました。今思えば、あの頃から少しずつ体調が悪くなっていたんだと思います」 当時母親は40代後半とまさに「更年期」と言われる年代にさしかかっていた。数年前にパートから正社員になったタイミングでパートの掛け持ちをやめ、日中だけ働くようになれた母親。親子でゆっくり夜を過ごす時間が増えていたが、会話は逆に減っていったという......。 やがてえりさんは、母親の異変を不安に感じるようになる。何気なく話しかけただけなのに、怒り出す日があるかと思えば、母親の方から延々と機嫌よく話しかけられる日もある。頭痛がひどいと何度も頭痛薬を飲んで、えりさんが止めたこともあった。
「体調がすぐれないのは何となく感じていましたが、それだけではない感じがありました。どんなに忙しくても優しくて笑顔を見せていた母が、ほとんど笑わなくなったことに気付いた時はショックでしたね」 これをきっかけにえりさんの母親の体調はますます崩れ、ついには最悪の事態を引き起こす。 ★後編はこちら★ではえりさんの母親が病状を悪化させていった過程とその結末をレポートする。 取材/文:山村真子 PHOTO:Getty Images
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