<一部ネタバレあり>今までとは違う⁈ フィリピン発ゾンビホラー「アウトサイド」
「ゾンビ映画」をよく見てきた。少し前ならミラ・ジョボビッチ主演の「バイオハザード」シリーズ、あるいは韓国の「新感染 ファイナル・エクスプレス」や日本の「アイアムアヒーロー」、もとはテレビドラマだが、竹内涼真主演の「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」も。皆さんの中にも、おおっぴらに言うと気味悪がられるが、実は「クセになる」という隠れ(?)ファンがいるはずだ。 【写真】〝フィリピン初のゾンビ映画〟の本格的なゾンビたち「アウトサイド」の一場面 そんな潜在的な〝市場〟に新たに参戦してきたのが、フィリピン発の配信オリジナル作品。Netflixで独占配信中の映画「アウトサイド」は、予想とはちょっと違った展開だったが、この結末はゾンビ映画ならでは――と納得するストーリーだった。見どころは? 「アウトサイド」のあらすじはこうだ。舞台は、理由は不明ながら街じゅうにゾンビがうごめく世界。メガネ姿の優しそうな雰囲気の主人公、フランシス(シド・ルセロ)は実家の農場を訪れるが、父親は亡くなり、母親はゾンビ化しており殺さざるを得なかった。フランシスは実家の一軒家に、しばらく身を潜めようと家族に告げる。 フランシスと妻アイリス(ビューティー・ゴンザレス)、長男ジョシュ(マルコ・マサ)、次男ルーカス(エイデン・タイラー・パッドゥ)は、荒廃した外の世界におびえながら日々を過ごす。一家の食事を預かるアイリスは、このままでは飢え死にしてしまうと、自ら食糧を探しに外に出たいと宣言する。しかしフランシスは、家の中を出たい本当の理由は別にあるはずだといい、一家は混乱する。そんな彼らに、ゾンビたちは容赦なく襲いかかり……。
「ハラハラドキドキ」ではなく
さて展開は。ホラー色全開、ハラハラドキドキのノンストップアクションムービー――というわけではなく、約2時間20分の中で、ゾンビが登場するシーンは案外少なめ。例えば前述の「新感染 ファイナル・エクスプレス」は、はや物語の前半時点でゾンビが増殖し出し、画面に映し出される比重が「ゾンビ<(ウイルス感染していない)人間」から「ゾンビ>人間」に変わっていくという恐怖の世界だった。だが、今作で描かれる「恐怖」はちょっと違う。画面構成は「ゾンビ<人間」(時折はゾンビの大群が登場)のままだが、フランシスが異常な世界に身を置く中で、過去の秘密も明らかになりつつ、変貌を遂げていく。正気が狂気にじわじわと変わっていくプロセスが、今作の最大の「恐怖」。アクション的なホラー以上に、人間ドラマの要素が色濃い。