最近「iDeCoで保育料が節約できる」と聞きました。年収500万円の場合、どのくらい“節約”できるのでしょうか?
子育て世帯にとって、保育料の負担はなかなか重いものです。収入が上がれば保育料の負担も大きくなるため「iDeCoで保育料が節約できる」との情報は気になります。 本記事では、保育料とiDeCoの関係について解説し、実際にiDeCoに加入することでどのくらい保育料が節約できる可能性があるのかをシミュレーションします。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
保育料計算のしくみ
認可保育園・認定こども園・地域型保育事業などの保育料は、各市区町村に納める個人住民税の「所得割課税額」の世帯合計によって決定します。住民税は、所得にかかわらず定額負担する「均等割」と、所得に応じて負担する「所得割」を合算した額です。所得割の税額は、給与などの収入から各種控除を差し引いた額の10%と定められています。 個人住民税の所得割額は、図表1の手順で計算します。 図表1
東京都主税局 個人住民税 年収500万円の会社員であれば、目安として約24万円が個人住民税の所得割額です。なお、人によって該当する所得控除は異なるため、ここでは給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除(40歳以上とした場合)のみを考慮しています。 この額を保育料表に当てはめてみましょう。保育料は各自治体によって大きく異なりますが、例として東京都目黒区の2024年度の保育料は図表2の通りです。 図表2
東京都目黒区 保育料階層表 個人住民税の所得割額24万円とした場合、保育料階層表の階層D8に該当するため「0~2歳児 保育標準時間」の保育料は月額2万6800円です。なお、共働きであった場合は夫婦2人分の個人住民税の所得割額の合算となります。
iDeCoと保育料の関係
iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」のことで、老後資金を積み立てられる私的年金制度です。自分で「投資信託」「年金保険」「定期預金」などさまざまな金融商品の中から選んで、毎月掛け金を積み立てます。 iDeCoの掛け金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、掛け金として支払った全額を「所得控除」にできます。 個人住民税の所得割額を計算するときには、先の図表1のとおり、総所得金額から基礎控除や社会保険料控除などさまざま所得控除を行い、算出された「課税所得金額」に10%を掛け合わせます。 そのため、所得控除の金額が多くなればなるほど課税所得金額が少なくなり、個人住民税の所得割額も少なくなります。これにより保育料階層表の階層を下げられるため、iDeCoに加入することにより、保育料が安くなる可能性があります。
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