まずは自分の「お金力」を把握することから始めよう。
10年先を見通して「力」を蓄えていく。
堀川 もう一つ、お聞きしたかったのが、これからの住まいについてです。賃貸のままでいいのか、買ったほうがいいのか。高齢になると借りにくくなるともいわれているし、悩むところです。 井戸 URをはじめ、高齢の方でも借りられる物件も増えてはいますが、駅近など条件のいいところは少ない印象です。私の個人的な経験からお話ししてもいいですか? 子どもが独立したあと、戸建てを売って賃貸マンションに住み替えたことがあるのですが、家賃を払い続けるのって、気持ち的に疲れるものだなと痛感しました。もちろん収入や貯蓄額をふまえて、充分に払っていける家賃ではあったのですが、お金を取り崩していくばかりなのがつらくて、結局、また別の家を買いました。 堀川 たしかに、年金生活だったり、収入が減っていくなかでは家賃の負担を重く感じるかもしれませんね。いざその年齢になってみないとわからないことも多そう。 井戸 だからこそ、資産はできるだけ人生の後半に向けて蓄えていきたいのです。クロワッサン世代はとくに、子どもの教育にお金をかけすぎないことですね。子どもが老後の面倒を見てくれることなんて絶対ないですから(笑)。
堀川 同感です。声を大にして言いたい。 井戸 将来の住まいについては、堀川さん自身がどう暮らしたいかにもよるのではないでしょうか。10~15年後の生活や働き方を思い描く「見通し力」も重要です。目先のお金のやりくりではなく、遠くにゴールの旗を立てて、そこに向かっていく道を見定めていかなければなりません。 堀川 見通しというか、ぼんやりと思い描いているイメージはあります。息子が家を出たら、私は私の暮らしを始めようと。拠点が東京ではなくなるかもしれないし、まったく新しいかたちの暮らしになる気がします。そのときに誰とどんな仕事をしているかな?と想像しているところです。 井戸 楽しみですね。人生、子どもが手を離れてからの時間のほうがずっと長いので、その先をいかに楽しんで、好きなことをするか考えたほうがいい。堀川さんは「おひとり様力」がありますね。家族に依存せず、自分のお金を自分で管理できたり、最後は判断能力が衰える前に誰かに託したりできるような力は必須です。