なるの激ムズ職業代表「宇宙飛行士」実は条件のハードル下がってるって本当? 求められる資質に変化
人類初の月面着陸から50年以上が経過し、現在は2027年以降に人類を月面に着陸させることを目標とした「アルテミス計画」と呼ばれる月探査計画がアメリカ主導で進んでいることを知っていますか? 遠い存在だった宇宙が、今後はより身近な存在になっていくかもしれません。こうした状況の中、宇宙キャスターの榎本麗美さんは「宇宙飛行士は目指せる職業になった」と言います。では、実際に宇宙飛行士になるにはどうすれば良いのか詳しく聞きました。 【朗報】宇宙飛行士になるための条件が1部“ゆるく”なった? ☆☆☆☆ 2023年、2人の日本人の宇宙飛行士候補が新たに誕生しました。実に13年ぶりのことで、募集のチャンスも無かったそう。JAXAはこれから5年ごとに試験を行う予定があると発表しています。これについて榎本さんは「今までは宇宙飛行士の募集を待ち続けるしかなかったのが、自分で宇宙飛行士になる計画を立てて『目指せる』ようになったのです。これは本当にすごいことです」と話します。 JAXA の宇宙飛行士になるためには「宇宙飛行士候補者選抜試験」に応募して合格する必要がありますが、この応募資格の条件が以前よりもやさしくなっているそうです。 「2021 年度募集資格では間口が広がり、多くの方が挑戦できるようになりました。これまでは『大学で理系分野を専門的に学び、卒業後に自然科学系の仕事に3年以上従事していること』が応募資格に含まれていたのですが、職業ジャンルを問わず3年以上の実務経験があれば応募が可能となりました。また、学歴不問で中学を卒業していれば何歳でもOKとされています。技術の進歩によって体重制限もなくなり、身長の条件も149.5~190.5 センチメートルに。低身長でもチャレンジできるようになりました」(榎本さん) さて、「虫歯があると宇宙飛行士になれない」という話を聞いたことはないでしょうか。これについて、「虫歯があっても治療してあれば大丈夫」と榎本さん。そもそも、宇宙飛行士は宇宙に向かう前に悪化しそうな歯はないか歯科医師による検診を受けるのだそう。 「JAXAのHPにも説明がありますが、宇宙飛行士は船外で活動をするときに宇宙服を着ます。船内は1気圧ですが、宇宙服の中は約0.3気圧に減圧されています。このため虫歯が進行して歯に空洞ができていると、空洞の中の空気が膨張し歯を内側から圧迫するため痛みが生じることがあるそう。宇宙服を脱いだ状態の船内でも、これとは違うタイプの痛みが飛行士を襲うと聞きます」(榎本さん) ここまではフィジカルな資格条件の話でしたが、それ以外の部分で必要とされる資質は何なのでしょうか? 榎本さんは、試験には英語力をはかるものや大学生レベルの一般教養問題が出題されるため、やはりある程度のレベルの勉強は大切だといいます。さらに、プレゼンテーション能力・コミュニケーション能力も必要とされるのだそう。「2023年に選抜された宇宙飛行士候補は月で活躍する宇宙飛行士の世代として『アルテミス世代』と呼ばれ、国際宇宙ステーションで活動するフェーズから月で活動するフェーズへと移行します。日本人として初めて月や火星に降り立つ宇宙飛行士は、そこが“どんな所”か“どんな気持ちになるか”などを地球で見守る人々に伝える必要があるのです。これまで必要な資質や能力にプラスして、発信力・表現力が求められることになります」と榎本さんは解説しました。 また、どんな状況でも「冷静かつ正確にオーダーを遂行する根気強さ」が求められるテストとして、閉鎖環境適応訓練設備内にて「4日間の中で1日1時間を使い、受験者10人で合計1000羽の鶴を折り糸を通して千羽鶴を完成させる」というものがあったそう。他には「144ピースの真っ白なジグソーパズルを3時間以内に完成させる」といった課題も。聞いただけでうんざりしそうですが、これらは集中する我慢強さ・失敗しても諦めず立て直せる力・焦らず落ち着いて丁寧にできる力……といった「心(精神)」のありようが成功のポイントだったとか。 ☆☆☆☆ “誰もが目指せる職業”として希望の扉がより開きつつある宇宙飛行士。「2040年代には月に1000人が住み、火星にも人が行っていると予想されています。子ども達はもちろん、ぜひ大人も宇宙のことを知る一歩を踏み出してください」と榎本さんは締めくくりました。 (取材・文=宮田智也)
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