滋賀のサッカー情報を発信する「シガラボ」を運営する山中さん（大津市内）

　平日昼の顔は滋賀県職員。帰宅して子どもを寝かせてから記事を書き、休日は試合の取材へ。山中直人さん（36）=大津市=は、滋賀のサッカー情報を発信するウェブメディア「シガラボ」を運営して2年になる。「サッカーを通じて県全体を盛り上げたい」との思いが原動力だ。 【画像】育成年代を中心に紹介するシガラボの記事 　県広報課にいた時に培ったウェブデザインなどのノウハウを生かし、サイトを立ち上げた。もともと地域から海外までサッカー情報の収集が好きで、特に小中高の育成年代に着目してきた。「こんな選手になったんや」。成長を追うことで、いろんな驚きや発見があるという。 　自身も小4でサッカーを始め、プロを夢見たことも。でも、高校進学の頃に限界を感じた。「いま振り返れば、もっと頑張れたかも。線引きするのが少し早かったかな」。そんな思いがあるから、若い選手の後押しや参考になるような情報発信を心がけている。 　サイト内容は、滋賀のチームや大会の紹介に加え、観戦した試合の詳報や入団セレクション情報など多岐にわたる。指導者や県外で活躍する湖国出身選手のインタビューにも力を入れている。 　はじめは取材の依頼一つとっても手探りだったが、初対面でも公務員だと安心してもらいやすい。ただ副業は原則できないため、活動はすべて非営利で、交通費を含めて手弁当でやりくりしている。 　仕事や育児も忙しい中、サイト閲覧者は累計7万人を突破した。最近は取材した選手や保護者らから感謝のメッセージや大会情報などが届くようになり、手応えを感じている。 　競技の裾野を広げようと、障害のある人も楽しめる催し「ダイバーシティサッカーday」も主催。一方で、わが子をスタジアムに連れていっても、「サッカーにはなかなか興味を持ってもらえない」と苦笑する。 　「シガラボを見てサッカーを始めたとか、支えられたとか言ってもらえるように頑張りたい。有力選手だけでなく、ひたむきに頑張っている子どもたちを取り上げられたら」。地域に根ざした、息の長いメディアを目指して走り続ける。