“ぴちぴち戦略”人口2万人の町に年間120万人来店のヒミツ
「海のごちそう」続々~1日楽しめる「魚のテーマパーク」
〇魚太郎、ここがスゴイ2~鮮魚のテーマパーク! その鮮度をより多くの人に味わってもらうためにさまざまな仕掛けも考えた。 魚太郎の週末の名物はマグロの解体ショーだ。その後、じゃんけん大会がスタート。勝った人は希少部位を格安で買える。
買った魚を手にして店を後にした家族は隣にある建物へ。そこは1000人が入れる巨大なバーベキュー場になっていた(入場料金・大人1000円、小学生450円。フリードリンク付き)。ここでは店舗で買った魚をそのまま焼いて食べることができる。ここが目的で遠方から来る客も多いという。 バーベキュー場の一角にある建物は販売スペース、バーベキュー用に用意した食材80種類以上が購入できる。鉄板マグロステーキ(1408円)など、すぐに焼けるように下ごしらえしてある。 大きな赤えび(132円)、天然の鯛(418円)は浜焼きスタイルで。エビやイカ、貝などを米の上に盛り付けてもらい、そこに自家製スープをかけるのはパエリア(1353円)だ。 鮮魚売り場、バーベキュー場の他にも海鮮丼の屋台や、食堂も併設。家族で一日中楽しめる、魚のテーマパークを作り上げた。 「何よりも魚を好きになってほしいので、そのためのスタッフの頑張りがあります。行って・見て・話して・教えてもらって。いろいろな楽しい体験をできる場所でありたいなと思っています」(梶山)
外資系ホテルから鮮魚店に~門外漢が仕掛けた鮮魚革命
魚太郎は2024年4月、名古屋市内の商業施設の中に新店舗・瑞穂店をオープンさせた。初となる大都市での出店だ。 ここの売りは鯛めし(1パック680円)など地魚を使った惣菜などの海鮮グルメ。その日の水揚げによって変わる料理ばかり、40種類以上が手作りされている。梶山のお薦めはマメダイ、小アジ、コショウダイ3種類の南蛮漬け。違った風味が楽しめる。 「私たちは、水揚げされるいろいろな魚を食べていただくのが仕事なので、いろいろな魚がいろいろな形で並びます」(梶山) その梶山は昔、家業が嫌いだったと言う。父親の美智夫は漁師。やがて魚の卸や販売も行うようになり、母親や梶山もその仕事を手伝い、生計を立てていた。高校を卒業すると、反対する両親を押し切り、アメリカのウェストバージニア大学に留学する。 「夏休みに帰ってくると、たくさん獲れたイワシを干物にするので手伝わなくてはいけなくて、嫌がると『お前はイワシで大学に行かせてもらっているんだ』と。魚屋の娘であることは嫌でした」(梶原) 帰国後の1988年、東京の大手広告代理店に就職。マーケターとして5年間奮闘すると、日本に初上陸した5つ星ホテル、「パークハイアット」の目にとまり、ヘッドハンティングされ、転職。ここでも活躍し、販売戦略チームのトップにまで登りつめた。 だが、入社して12年後の2005年に転機が訪れる。 「ある時、父が体を壊し、『魚屋を継いでくれ』と言ってきたのがきっかけです」(梶山) 父親が1995年に作った鮮魚店、魚太郎は、当時、すでに30人ほどの従業員を抱えていた。梶山は「自分がやるしかない」と覚悟を決めて入社。2年後には社長に就任した。