欧州ESGファンド閉鎖ラッシュ加速、主要市場で資金流入後退の兆し
(ブルームバーグ): 欧米の運用会社が今年減らしたESG(環境・社会・企業統治)ファンドは、数百本に上る。ESG戦略が依然として規制の逆風に直面しているためだ。
モーニングスターの分析によると、欧州の投資会社が清算・統合したサステナブルファンドは今年7-9月(第3四半期)だけで102本に上り、年初来で349本となった。これにより、欧州で今年閉鎖されたESGファンドの本数は通年ベースで、昨年の351本を上回る見通しだ。米国では、ブラックロックが運用するファンド5本を含む12本が清算となった。
ESGを巡る誤解を招くような販売手法を取り締まることを狙った新たなルールが導入される中、さらなる混乱が今後起きる可能性は高いとモーニングスターは指摘する。
「欧州連合(EU)のファンド名称ルールなど新たなグリーンウォッシュ防止規制の期限が迫る今後数カ月間、サステナブルファンドを巡る状況はさらに変化すると見込まれる」とリポートで言及した。
モーニングスターはまた、ESGをうたうファンドの解約の動きが米国で減速している一方、欧州ESGファンドへの資金流入が減少していると指摘した。ESG投資市場で欧州が圧倒的な規模を誇るのを踏まえれば、欧州で見られる後退の兆しが持つ意味は大きい。
「ESGファンドの世界的な資金流入状況は改善しているが、地域ごとに微妙な違いが隠れている」とモーニングスター・サステナリティクスのサステナブル投資調査責任者ホーテンス・ビオイ氏はコメント。特に「主要市場である欧州でESGファンドへの流入が増えていない」と指摘した。
同氏は、清算によるファンド本数減少など、こうした動きの背景にある要因を複数指摘している。一方でファンドマネジャーは、「グリーンウォッシュ防止規則に関する不確実性」や、規則の確立が既存・将来のESG投資戦略に及ぼす影響について悩んでいるとも言及した。
過去最低
モーニングスターによると、こうした懸念が生じる中でインデックス型のESGファンドへの資金流入は、欧州で過去最低の100億ドル(1兆5300億円)に落ち込んだ。一方、アクティブ運用のESGファンドは、5四半期ぶりに純流入に転じている。