Pixelのデザインは製品化まで約2年を要する――Googleデザイナーが語る哲学 国立新美術館で特別展示も
デザインは3年周期で見直し Pixel 9がその転換点に
また、Googleは製品デザインを約3年周期で大きく見直すという。「カメラやディスプレイなどの技術は、毎年新しいものが出るわけではありません。3年ぐらい熟成しないといいものが出ないんです」と松岡氏は説明する。Pixel 8までは似たデザインラインを踏襲してきたが、Pixel 9シリーズはその転換点にあるという。 テクノロジーの進化を受け入れながら、いかにPixelらしいデザインを実現するか。それが現在のデザインチームが向き合う重要なテーマとなっている。 そして、デザインの進化は色彩表現にも及んでいる。「これまでのミニマルなデザインを追求してきたPixelですが、今回のカラー展開ではよりマキシマリスティック(※)な表現へとかじを切り始めています」とレンデリー氏は語る。 Pixel 9シリーズでは、標準モデルのPixel 9にPeony(ピオニー)を、ハイエンドモデルのPixel 9 ProにRose Quartz(ローズクオーツ)という系統の違うピンクを採用している。 「ピオニーは、とても大胆で、エッジの効いた、明るく遊び心のある色です。自信に満ちたピンクであり、より柔らかで上品なローズクオーツによって美しく補完されています。ローズクオーツには控えめながら甘さのヒントも残されているんです」とレンデリー氏は説明する。 「私たちは特定の流行や他社の動向に左右されることなく、Googleらしさを追求しています。各製品にふさわしい色、そして製品のパーソナリティーや表現力を引き出す色を選んでいます」とレンデリー氏は説明する。「中性的な色から表現力豊かな色まで、幅広い選択肢を提供することで、誰もが自分に合った色を見つけられるようにしたいのです」 色彩のインスピレーションは、特定の文化や地域に限定されることなく、自然界の要素から多くを得ているという。例えば、「Porcelain(ポーセリン)」というカラーは、セラミックスや砂の微妙な色の変化からヒントを得ており、特に日本の陶磁器からも大きな影響を受けている。 国立新美術館1階ロビーで開催される本展示は、テクノロジーと人間性の調和という、現代のデザインが直面する課題への1つの回答を示している。写真撮影も可能で、入場は無料。Google Pixelの外観デザインに込められた哲学を、直接体感できる貴重な機会となるだろう。
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