【このニュースって何?】サントリーHD社長に創業家から → 社長ってどうやってなるの?
同族経営のメリットとデメリットとは?
日本の自動車メーカーには、創業者の名字を社名にした会社がほかにもあります。ホンダ、マツダ、スズキの3社です。このうち今も同族経営が続いているのは、スズキです。スズキは鈴木道雄氏が静岡県西部で鈴木式織機製作所を創業したのがルーツで、戦後に自動車製造に進出しました。以来ほぼ一貫して鈴木一族が経営を担っています。 一方、ホンダは創業者の本田宗一郎氏が会社に親族を入れることをよしとせず、本田氏のあとは、約50年間、サラリーマン社長が続いています。本田氏は社名に本田の名前を付けてしまったことを悔いていたとも言われます。マツダも松田重次郎が創業した会社ですが、今の松田家は経営に関わっていません。 創業者一族が経営に関わっている大企業は少なくありません。キヤノン、キッコーマン、エーザイ、江崎グリコ、ミズノなどそうそうたる日本の大企業が同族経営です。 同族経営のメリットとして挙げられるのは、ひとつは意思決定が早いことです。社長が大きな力を持っているため、大きな決断が素早くできると言われます。また、目先の業績にとらわれず、会社の将来を長期的な視野で考えることができることも挙げられます。たとえば、エーザイは2023年、アメリカと日本で認知症の新薬「レカネマブ」の承認を受けましたが、その研究開発期間は約40年にわたったそうです。それだけ長い期間をかけられたのは同族経営のため約36年も社長が代わらなかったから、という見方があります。 もちろん、デメリットも挙げられます。独裁になって悪い情報がトップの耳に入らなくなり、無謀な手を打ったり危機管理ができなかったりするケースがあると言われます。また、能力が不足しているのに一族であるというだけで社長になり、業績を悪化させることもあります。また、経営をめぐり同族間のいがみあいが起こり、企業イメージを悪化させることもあります。 長い目で見れば、ゆっくりではありますが、同族経営から脱却していく流れが経済界にあるように感じます。パナソニック(旧松下電器産業)は創業者でカリスマ経営者だった松下幸之助氏が絶大な権力を持っていました。幸之助氏の死後も松下家の経営への関与は続きましたが、サラリーマン経営者たちが強く抵抗し、同族経営と決別しました。