CSのあるべき姿とは… 「われわれはそのために1年間戦っていますから」DeNA日本一、権藤博さんが複雑な表情を浮かべた瞬間
◇記者コラム「Free Talking」 今年は日本シリーズ取材を拝命したおかげで、久しぶりに中日OBの権藤博さんと話し込む機会を得た。権藤さんが新監督として横浜(現DeNA)を38年ぶりの日本一に導いた1998年。筆者は記者としてチームを担当した。それから26年の歳月を経て、日本一を争う舞台に再び居合わせる奇遇に会話も弾んだ。同じ投手で教え子だった三浦監督率いるDeNAの快進撃を心から喜んでいたが、話題の中で唯一複雑そうな笑みに変わったのが「リーグ優勝をしていない」点だった。 ◆筒香、お立ち台で絶叫&劇弾にのけぞる牧【写真複数】 「われわれはそのために1年間を戦っていますからね。私が監督のときなら135試合、今なら143試合。この長丁場を制するというのは本当に大変なことです」 今季のセ・リーグは貯金2の3位・DeNAが優勝した巨人をクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで下して、日本シリーズに進出。貯金が18あった巨人との差は8ゲームあった。この下克上の光景を権藤さんは実に面白いたとえ話で説いてくれた。 「42・195キロのマラソンで最初にゴールテープを切った選手がいたとしましょう。それから10分後にゴールした2位の選手、さらに遅れてゴールした3位の選手。この3人をマラソン終了直後にまた集めて『はい、これから1500メートルを走ってください。そこで一番になった人が優勝です』と。真っ先にゴールして一番と思っていた選手からしたら、たまったものではないでしょうね」。優勝を果たし、逃した経験もある元監督だからこそ抱く実感である。 巨人が日本シリーズに進出できなかった事態を受け、11月の正力松太郎賞選考会では日本ハムとヤクルトで監督を務めた高田繁さんから「5ゲーム以上離した場合は優勝チームに2勝のアドバンテージ」を与える案が出されたという。もちろん下克上のドラマ見たさに現状のCS制度を支持する方もいるだろう。横浜時代から長年のファンを続ける筆者の知人もその一人だ。MLBとの魅力の格差に焦点が当たる昨今。もっともっと盛り上がり、ファンも大いに納得できるポストシーズンを目指して、活発な議論が展開されるなら大歓迎だ。(プロ野球担当・千葉亨)
中日スポーツ