【独自】社長は「うるさい」と…東証プライム上場で三菱グループ企業の「下請けイジメ」を被害者が告発
「うるさい。余計なことはなし」
では、東京産業の経営陣はどう答えるのか。12月5日夜、会食を終えて、運転手つきの黒塗りセダンで帰宅した蒲原社長を直撃した。 ――西郷村の太陽光発電所の件で。 「あの、ごめんね。それ全然、関係なしだから」 ――2基工事に関わったB社が。 「うるさい。余計なことはなし。ごめんね、僕はきょう、違う立場だから」 ――東京産業の社長ですね。 「はい、そうだよ」 ――B社が130億円の見積もりを出したが、最終的には79億円に。 「そういうの、全然わかんない」 ――このことは、建設業法違反に問われるのでは。 「(いらだった口調で)なに?」 ――建設業法違反の可能性がある。 「ちゃんと(取材は)総務課を通して。はい、お願いします」 ――この場で正確に事実関係を説明したい。 「いらない。こういう時間に来ないで。はっきり言って失礼だよ」 ――会社を通せば、取材は受けるか。 「やるよ。ちゃんと昼間いらっしゃい。闇討ち的なことは大っ嫌い。ちゃんとそういう場でお話ししますから」 そう言って自宅玄関に駆け込んだ蒲原社長。翌朝、東京産業に取材を申し込むと、総務人事部のT部長が次のように答えた。 「蒲原から話は聞いていますが、総務として私のほうで対応する。当社としては、不当な契約をしたという認識はないので、特にお話しすることはないと思います」 ◆「協力しあってやっていきましょう」 一方で、次のような実態を漏らす関係者もいた。以下は、西並取締役との電話でのやりとりである。 ――3月19日に西並さんや蒲原社長らがB社のオフィスを訪ねている。その際に、蒲原社長は、B社の利益分は別の工事に振り分けて支払うと話している。 「そのときはですね、振り分けてじゃなくて、違う仕事でまた協力しあってやっていきましょうっていう話にしたと思いますよ、僕は。 ちょっと、(請負契約の内容が)不当かどうのこうのっていうのは、僕はよくわかんないんで。彼(A氏)がずいぶん困っているという話だったんで、じゃあ、助けるためにどうしたらいいかっていう話をしただけの話ですよ」 ――79億円の契約が正当な金額だとしたら、なぜ、B社を助けようと考えたのか。 「あの、正当な金額だったんですよ、それは確かに。あの、そのへん、ちょっと勝手に、僕、取材を受ける立場じゃないので、総務部のほうにちょっとご連絡していただけませんか」 ――79億円が正当な金額だとしたら、なぜ、別の工事を新しく用意しなければいけないのか。 「いや、それもちょっと、あの、すいません。取材をするときって、正式なルートでちゃんとやったほうが、僕、いいと思いますよ」 あらためて東京産業側に書面で質問状を送ると、おおむね次のような回答があった。 「見積書の金額が減ったのは、契約締結までの期間に弊社が支払った費用や、弊社が直接発注した費用を調整したものです。B社に対して、不当に低い工事代金での契約を要請したことはなく、B社も了承のうえで契約締結に至った。建設業法に抵触するものではないという認識です。 3月19日に、蒲原ら3人がB社のオフィスを訪ねたのは事実ですが、蒲原が一連の発言をした事実はありません」 9月29日、B社は東京産業側とある合意書を交わしている。そこには、西郷村の太陽光発電所の建設工事について、B社に代わり、東京産業の関連会社が引き継ぐことなどが明記されている。 「建設工事の請負契約は打ち切られ、結果的に、東京産業の子会社に事業譲渡されたかたちになりました」(A氏) そのうえで「清算金」が支払われたのだが、その金額は、当初求めていた9億3500万円を下回る、1億円あまりに過ぎないという。 取材・文:宮下直之 naoyukimiyashita@pm.me 取材・文:宮下直之(ノンフィクションライター)
FRIDAYデジタル