“恒星間天体の落下による振動” の正体はトラック? 破片採集の主張に厳しい反論
2014年にパプアニューギニア沖に落下した流星「CNEOS 2014-01-08」は、観測史上初の「地球に落下した恒星間天体」かもしれないものであるという主張があります。2023年には「ガリレオ・プロジェクト」がCNEOS 2014-01-08に由来する物質を海底から採集したと主張しましたが、これには多くの異論もあります。 「恒星間天体」に由来する破片を人類史上初めて採集!?(2023) ジョンズ・ホプキンズ大学のBenjamin Fernando氏などの研究チームは、ガリレオ・プロジェクトが海底調査を行った場所の根拠となったデータの1つである、地震計がとらえた振動の分析を行いました。その結果、振動データは流星落下によるものではなく、今回の現象とは無関係に発生した遠方の地震と、近くを走行したトラックの振動が混ざったものだという結論を出しました。 また、別のデータを用いた分析の結果、CNEOS 2014-01-08の落下場所は採集地点からはるかに遠い可能性が高いことを示しました。これらを総合すると、2023年に発表された採集物は、その正体がなんであれCNEOS 2014-01-08とは無関係である可能性が高いと言えます。 この内容はまだ論文化されておらず、2024年3月に開催された第55回月惑星科学会議で発表されています。
■「恒星間天体由来の金属小球を採集」という主張と反論
太陽系の外からやってきた天体である「恒星間天体」は、太陽系の外側という未知の領域を知るための重要な手掛かりです。現時点で恒星間天体であると正式に認められた天体は2個しかありませんが、他にも恒星間天体であると主張されている天体はいくつかあります。 中でも「CNEOS 2014-01-08」という流星は、観測史上初となる「地球に落下した恒星間天体」である可能性が2019年に主張されました。2014年1月8日にパプアニューギニア沖の太平洋に落下したと推定されるCNEOS 2014-01-08は、異常に速い落下速度を根拠に、恒星間天体の可能性があると主張されました。 2023年7月、ハーバード大学のAvi Loeb氏が主導する「ガリレオ・プロジェクト」は、CNEOS 2014-01-08の落下場所と推定されるパプアニューギニアのマヌス島から北東に約84km離れた太平洋沖の海底を調査しました。ガリレオ・プロジェクトは海底に下ろした磁石付きの板を引きずり、磁石にくっついた金属物質を採取して分析しました。