アップルがAIで「プライバシー」を徹底保護する極意、ライバルのAIモデルと全く異なる「プライベートクラウド」の特徴とは
独自チップを用いたのはアップル製チップの“省電力性”だけが理由ではない。 ご存じのとおりiPhoneをはじめとするアップル製チップ搭載の端末は、過去にそのセキュリティーを破られたことがない。かつて「スノーデンのiPhoneに収められた通信記録」を取り出すよう米政府から要求され、それをアップルが断ったことがあったが、そうした強固なセキュリティはチップレベルで統合された技術に根ざしており、それはプライベートクラウドを提供するサーバにも応用されている。もっとも広く知られているのはSecure Enclaveと呼ばれるチップ内にある独立した格納庫に暗号化キーを保管する仕組みだ。
このサーバで動作するソフトウェアは、OSレベルから新設計されたもので、一時的な記憶領域でデータをハンドリングするものの、恒久的な記録を記憶装置には残さない。 もちろん、事前学習されたデータベースは存在しているはずだが、アップル自身がトレーニングしたAIモデルは外部からのリクエストにはまったく影響されない。端末から何らかのリクエストがあり、それを処理するために何らかのデータが送信されたとしても、応答後には保存されずに破棄される。
さらOSが起動する際には、ロードするモジュールすべてに埋め込まれたデジタル署名の検証を行いながら起動し、そのうえで実行されるコードにも電子署名とコードの安全性を検証した証明を確認しながら実行させるモニター機能などが組み込まれている。 ■技術を公開しプライバシーとセキュリティーの確保を保証 さらに重要なことは、そうしたセキュリティーとプライバシーに配慮した設計を確認できるようにしていることだ。 これらの仕組みが完全に機能していることを証明するため、アップルは独立した専門家がソフトウェアを検証できるよう、検証のための技術を公開することで、プライバシーとセキュリティーが確保されていることを保証する。