想像以上に面白い!EVのF1とも呼ばれる「フォーミュラE」は近い将来の量産EVを見据えた戦いでもあるのかもしれない
EVのF1などとも呼ばれる「フォーミュラE」。大手自動車メーカーが参加し、世界中を転戦するシリーズです。2024年3月30日に、初めて東京で2023-24年シーズン10の第5戦が開催され、“思っていた以上にエキサイティング!”と評判でした。 【白熱のレース風景を見る】 ▼結果は… さきに結果をお伝えすると、10位までの順位は下記のようになります。 1位ギュンター(マセラティMSGレーシング) 2位ローランド(日産フォーミュラEチーム) 3位デニス(アンドレッティ・フォーミュラE) 4位ダ・コスタ(TAGホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム) 5位ウェーレイン(TAGホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム) 6位ナト(アンドレッティ・フォーミュラE) 7位ミュラー(ABTクプラ・フォーミュラEチーム) 8位キャシディ(ジャガーTCSレーシング) 9位フラインス(エンビジョンレーシング) 10位カマラ(ERTフォーミュラEチーム)
フォーミュラEの面白さとは
レース展開は、もうご存知のかたもいるでしょうが、序盤からマセラティのギュンターと、日産のローランドの一騎打ちの様相でした。本来、フォーミュラEではけっこう順位が入れ替わるのですが、東京ビッグサイト周辺の特設コースは幅が狭めで、追い抜くのもひと苦労。 スタート時にポールポジションだったローランドと、3位でスタートしたギュンターが35周のレースを通して、激しいつば競り合いを見せてくれました。 「フォーミュラEってホントに面白いの?」って思う人もいるようですが、エンジン車よりはるかにするどい加速力を持つだけに、ちょっと異次元のレースを観ている気分になります。ドライバーの動態視力はすごいんだなと、感心しました。 フォーミュラEのもうひとつの面白さは、年間16戦のうち、そのシーズンの勝者がなかなか見えにくいところです。F1だとやたら速いマシンとか、うまいドライバーがいると(往年のシューマッハや、最近のフェルスタッペン)序盤からシーズンの勝者が決まってしまうようなところがあります。フォーミュラEではそこも違って、レースを追っていく楽しみが設けられています。 どういうことかというと、マシンのイコールコンディションがかなり徹底しているからです。シャシー、ボディ、フロントサスペンション、回生用のフロントモーター、フロントブレーキ、バッテリーといったものは共用です。 そのため差が出にくくなっています。各チームにまかされているのは、インバーター、モーター、コンピュータのソフトウェアの制御、ギアボックス、リアサスペンションといったものです。それが、微妙な差を生み、抜きつ抜かれつのレース展開を生み出します。 実際、東京まで5戦が終わった段階で、2回続けて1位をとったチームはありません。ドライバーも同様です。東京でいうと、マセラティMSGレーシングの勝利は、多くの人の予想を裏切りました。が、マセラティコルセの責任者であるジョバンニ・トンマーゾ・スグロ氏は、(成績こそぱっとしませんでしたが)第4戦のサンパウロが終わった時点で、「マシンの調子がいい。東京は期待していてほしい」と関係者に語っていたそうです。 私が今回、近くでいっしょにレースを観ていたのはジャガーTCSレーシング。第4戦のサンパウロEP(グランプリならぬイープリという)までドライバー選手権ポイント1位のニック・キャシディと、3位のミッチ・エバンスという戦闘力のすばぬけて高いドライバーも抱えています。 東京でも、ふたり、準々決勝と準決勝、いいタイムを出しました。ところが、規則違反と、他車の走行妨害というペナルティをとられて、スタート順位がうんと下がってしまいました。それでもキャシディは8位に入賞。エバンスはちょっと残念な15位でした。 結果、ジャガーはチームランキングで1位をキープ。ドライバーのランキングでは、エバンスが、ポルシェのパスカル・ウェーレインに次いで2ポイント差と僅差の2位です。