99%以上の遮光&UVカット率 真夏の炎天下を乗り切るために開発された東レの機能素材「SUMMER SHIELD® (サマーシールド)」
熱中症警戒アラートの発表がもはや定例と言っていいほどに、日本の夏は年々暑くなっている。 さまざまな酷暑対策があるなかで、以前より日傘を持ち歩く人も増えてきた。大人の女性だけでなく、男性や小学生も日傘をさして、通勤・通学する姿が見られるようになった。 日傘は、どのような仕組みで遮熱や遮光が機能しているのだろうか。ここで注目したいのが、東レ株式会社が開発した「SUMMER SHIELD®(サマーシールド)」だ。99%以上の高い遮光・UVカット率をほこり、体感温度はマイナス4度にもなるという。 今回、その秘密を探るために、同社スポーツ・衣料資材事業部衣料資材課長の神田達人さんにお話を伺った。
酷暑の夏を乗り切るために
ー「サマーシールド®︎」の前身となる素材はありましたか。 類似したものとして、防水透湿素材ブランド「Dermizax®(ダーミザクス)」があります。こちらは、スポーツやアウトドア向けに防水性能と透湿性能をあわせたラミネート加工になります。 それに対して、「サマーシールド®︎」は、主に遮熱と遮光、防水性能を持たせた素材となっています。 ーいつ頃から「サマーシールド®︎」の開発が始まりましたか。 開発のきっかけは、日本の温暖化です。今では「酷暑」や「猛暑」といった言葉が当たり前に使われていますが、頻繁に用いられるようになったのは2007年頃からです。そこで真夏でも快適に過ごせるものを作れないかと考え、2010年から開発に取り掛かりました。 2011年の夏に試験販売として、「サマーシールド®︎」を使った日傘を5,000本ほど百貨店で販売しました。夏のセール真っ只中で、割引もない高価格帯の傘でしたが、それでも1、2週間ほどで完売しました。 この結果を受け、2012年から本格的に開発、販売を進めていきました。
ー他社の類似品と比較して、大きな違いはどこにありますか。 遮熱性能・遮光性能・高UVカット率という3つの機能を同時に発現させたことです。「サマーシールド®︎」の登場以前は、上記3つの機能から1つ、または2つを組み合わせたものしかありませんでした。 今までの日傘の加工は、「コーティング」が一般的でした。生地の上に樹脂を薄く塗るため、折りたたみを繰り返していくと、折り目からコーティングが剥がれてきて、紫外線や日光が入り込んでしまいます。 ですが、我々が打ち出したラミネート加工は、膜を作り、それを傘の内側に貼っていくものになります。これが非常に画期的な技術で、だからこそ各機能を同時に持たせることができたのです。