大阪・堺発祥の天牛堺書店が破産 地元市民「古本も新書もあって魅力やった」
大阪府堺市発祥の書店「天牛堺書店」(堺市南区)が28日、大阪地裁堺支部に自己破産を申請、破産手続き開始決定を受けた。老舗の古書店「天牛書店」(大阪府吹田市)とは無関係。 [図]書店・雑誌の売り上げ推移(1957年~2013年)
98年5月期には年売上高約28億円を計上
民間の信用調査会社「帝国データバンク」によると、負債額は昨年5月期末の時点で約16億4000万円になっていたという。 同書店は1963年12月に創業。古本買い取り店から始まり、堺市を中心に「天牛堺書店」の屋号を掲げ12店舗を展開。新書と古書を併売し学校、官公庁筋の卸売なども行っていた。98年5月期には年売上高約28億円を計上していたという。 しかし、最近になるとインターネット書籍の台頭など、若年層の活字離れも影響。不採算店舗閉鎖など売上げ減少などもあり、収益環境も悪化、厳しい資金繰りを強いられていたという。
「大阪市内の店も何年かで閉まっていた」
堺市内の店舗では、シャッターが下り「臨時休業」のはり紙がされた店舗を寂しそうに撮影する仕事帰りの会社員らの姿もみられた。 堺市南区の会社員男性(54)は「インターネットのニュースで見て驚きました。若いころからお世話になっていたので残念。なんばとか大阪市内でも何店か出ていたから順調なのかと思ったけど、この何年かで閉店していましたね。かなり寂しいです」と話す。
地元では「てんぎゅう」って呼んでました
また、同区の会社員女性(41)は「地元近くに本の買い取りセンターがあって古本を買い取ってくれてました。私たちは地元でこの書店のことを『てんぎゅう』と呼んでいました」と振り返る。 また「本の話になると『てんぎゅうに置いてるんちゃう?』とか言っていました。店の外側に古本を置いてて、中に入ると新しい本も置いているのが魅力やったんですけど。家に帰ったら『天牛堺書店』のブックカバーをつけた本がたくさんあります。話を聞いて残念です」と寂しそうに話していた。