ロシア中銀総裁に支配層が不満爆発、高金利で経済破壊していると非難
だが、いまや風向きが変わり、18日にはナビウリナ氏に対する政界からの攻撃が公となった。左派系政党「公正ロシア・正義のために」のミロノフ党首は記者会見で、「おい、ナビウリナ。自分が何をしているのか分かっているのか」と問い掛け、中銀の利上げがインフレを悪化させていると非難した。
大企業の主要ロビー団体であるロシア産業起業家同盟のメンバーらは、現在の記録的な金利で投資プロジェクトの延期を余儀なくされていると主張した。鉄鋼メーカー、セベルスタリのオーナーで資産家のアレクセイ・モルダショフ氏は先月、「インフレの性質」と中銀の金利政策の影響力について議論を始めることを提案した。
ナビウリナ氏の長年の盟友で、戦争が始まって以来、金融政策と歩調を合わせた予算政策をとってきたシルアノフ財務相も距離を置くようになった。財務相は10月に行われたRBCメディアとのインタビューで、財務省は「戦闘での成功を確実にするために必要な」財源確保に集中しているとだけ語った。
ロシアの過熱する経済に重くのしかかっているのは戦争だが、ナビウリナ氏もその反対派もそれを指摘するリスクを冒そうとはしない。プーチン氏の指導を批判したと受け止められる恐れがあるからだ。
ナビウリナ氏は先月、議会で中銀の金融政策を長々と弁明したが、ウクライナ侵攻に触れることはなかった。
ロシア中銀の元幹部で20年以上前からナビウリナ氏を知っているオレグ・ビューギン氏は、ロシア経済の苦境の原因に戦争を挙げることは禁じられているため、中銀に矛先が向けられていると指摘。
「この状況の理由を理解していない者などいないが、中銀の金利よりも政治的な課題の方が重要であることも全員が理解している」とビューギン氏は述べた。
原題:Russian Elite Is Angry at Putin’s Central Banker Over Rate Hikes(抜粋)
Putin Says Russian Inflation Is a ‘Worrying Signal’(抜粋)
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