ロシア中銀総裁に支配層が不満爆発、高金利で経済破壊していると非難
(ブルームバーグ): ロシア銀行(中央銀行)のナビウリナ総裁は、西側の制裁に直面した国内経済を救ったとして長らく称賛されてきた。だが、記録的な高金利で今やロシア経済を破壊しているとの批判が強まりつつある。
ロシア中銀は20日に年内最後の金融政策判断を発表する。アナリストは政策金利が現在の21%から23%に引き上げられると予想しており、根強いインフレを抑えるため24%とされる可能性もあるとみている。
取り扱いに注意を要する問題だとして匿名を要請したロシア大統領府に近い3人の関係者によると、銀行家や実業界幹部、政府当局者らは機会を捉えてプーチン大統領にナビウリナ氏(61)に対する不満を訴えている。ミシュスチン首相ですらプーチン氏に、政府の景気支援の取り組みを中銀の行動が阻害していると述べたと、関係者2人が明らかにした。
今のところ、プーチン氏がロシア中銀総裁の交代を検討している兆しはないという。同氏はナビウリナ氏が経済を支えるため必要な決断を下すことを引き続き確信していると、3人の関係者は語った。
プーチン氏は19日に開いた年次記者会見で、ロシアのインフレは「懸念すべきシグナル」だと指摘した。
ロシア大統領府のペスコフ報道官はコメントの要請にすぐには応じなかった。
ロシア中銀はインフレ率を目標の4%に来年戻すため、必要であれば金利をいかなる水準にも引き上げる用意があると表明。これにプーチン氏に近い強い権力を持つ層が強く反発した。政府は軍事費に巨額の資金を投じる一方で、制裁から国内企業を守るための支出も増やしている。こうした状況に対応し、中銀は7月に16%だった金利を大きく引き上げた。
ロシア連邦国家統計局によると、11月のインフレ率は前年同月比8.88%と、前月の8.54%から加速した。
2013年6月に中銀総裁に就任して以来、ナビウリナ氏はロシア経済が数々の難局を乗り切る上で中心的な役割を果たした。22年2月のウクライナ侵攻開始直後には西側の包括的な制裁を受け、ロシア・ルーブルは1ドル=120ルーブル近くまで急落したが、同氏は緊急会合を開いて金利を一気に2倍余りとなる20%まで引き上げ、混乱を落ち着かせた。