『巨大地震注意』という言葉のインパクトが招いた自粛ムード「パニック状態に」観光地はキャンセル続出も「3.11を経て大きく伝えた方がいいと葛藤も」
■注意喚起と過剰な自粛を招く言葉のジレンマも
「巨大地震注意」という強く感じるワードながら、実際にはそこまで明確な指示が出なかったと感じられる人も多い中、あえて自己判断を促すようにしているというのが林氏の説明だ。「昔の地震予知の時代だと、全部国が決めて国が指導していたが、これだけ低い確率なので各自がリスクを考えて自分で行動してくださいというのが、この仕組みの大きな違い。行政が画一的な基準を決めると、その基準に従ってみんなが何も考えなくなり、どんどん過激に何もしない方向に進む。それはコロナ禍でも十分に経験したこと。『自分で考えてください』というのが最初のコンテクストとしてあった」と、過剰な自粛を招きたくない意図はあったという。 ただし、注意喚起をする目的がある限り、まるで伝わらないのでは、それもまた意味がない。「東日本大震災がスタートだから、大きく伝えれば伝えるほどいいという葛藤もあると思う。1人1人が国や役所に任せるのではなくて、この情報の真意を理解して、行動するようになるしかない。地震が起きなければ、こんなことに興味を持つ人もいないが、実態に合うような言葉を選ぶと無視していい情報のようにもなってしまう。確率が0.1%や0.4%であったとしても、ものすごく大きな地震が起きる可能性はある。『巨大地震注意』というのは非常に扱いが難しい。地震発生の確率が時間とともに下がっているが、1週間経ったら絶対に起きないなんて誰も言っていない。解除したら起きたみたいなことも起きるかもしれない。そういうものも含めて、地震なのだと思う」と理解を求めていた。 (『ABEMA Prime』より)