「まるで北欧神話」あまりに美しすぎる「道路標識」が東京から消えた理由とは!? ファンに愛された「王の槍」標識って一体なんだ
「美しいデザイン」で話題に
東京都世田谷区に「日本一美しい標識」とも言われる標識がありました。 現在では撤去されてしまいましたが、標識ファンなどで話題になっていました。 一体どのような標識だったのでしょうか。 【画像】日本イチ美しい!? これが世田谷区の「スゴい標識」です
その標識とは「指定方向外進行禁止」の標識です。 指定方向外進行禁止とは、青地に白い矢印が書いてあるもので、「矢印がある方向以外は通行禁止」という意味です。 もし十字路で「↑」という矢印であれば、左右に曲がるのは禁止ということになります。基本的には、一方通行とセットで運用される標識です。 こういった性質から、交差点形状が変則的だったり複雑だったりすると、矢印形状もヘンテコなものになりがちです。 そのなかでも世田谷区にあるのは、「3本の矢印が中央で交差して、それぞれ三方へ伸びる」というデザインが特徴的です。 具体的には「桜上水交番前」という名前の交差点で、京王線桜上水駅から南へ700m進んだところにあります。 そのデザインは、まるで北欧神話に登場する3ツ又の槍のようで、思わずファンタジー心をくすぐられます。ファンの中には、マセラティのエンブレムのようだと言う人も。 なぜこのような標識が生まれたかというと、この桜上水交番前が、複雑な6叉路になっているからです。 この標識は、駅へつなぐ「荒玉水道道路」へ南西から斜めに合流してくる路地に対して向けられています。 左斜め矢印は、この水道道路を向いています。水道道路は一方通行ではないのですが「水道道路の南行きには300度くらいの鋭角右折をしないといけないので、右折禁止にしている」ことで、北行きしか矢印がありません。 中央矢印は、水道道路から北東へ分岐する路地です。右斜め矢印は、南東へ分岐する路地です。 矢印がついていない向き(槍の持ち手部分)は、一方通行と、今来た道、そして先述の右折禁止です。 ややこしいのは、中央矢印の指す方向の路地が、ほぼ直後でさらにふた手に分かれること。目視では、実質的な7叉路状態に思えます。 そういう背景もあり「どの矢印がどこを指しているんだ?」といった混乱もあったのかもしれません。標識は撤去されて、今ではその姿を拝めなくなってしまいました。 撤去の理由について、警視庁の担当者は「2023年1月ごろに、近隣の住民から要望があり標識を変更しました」と回答。 「交通規制内容は変わっていませんが、『変わった矢印の形が分かりづらい』などの意見があったため、よりシンプルで分かりやすい標識に変更しました」(同担当者) そもそもなぜこんなヘンテコな交差点が生まれたかというと、「荒玉水道道路」という道路自体が広域水道管の地上部分を活用したという歴史があり、路地の道路網を完全に無視して「斜めにぶった切った」存在になっているからです。 地図上でも、見事に「斜めまっすぐ道路」となっていて、広域地図でもその異質さが伺えます。水道管が地下にあるということから、いまでも重量制限があり、大型トラックなどは通行できません。
くるまのニュース編集部