医学用語で“伝染性紅斑” 警報レベルの大流行「リンゴ病」とはどんな病気か 子どもや妊婦、免疫力が低下している人は要注意
2024年12月、インフルエンザ患者数が増加する中、別のウイルス感染症「リンゴ病」が全国的に大流行し、首都圏では警報レベルの発生数が報告されています。 【写真で見る】リンゴ病(伝染性紅斑)で特徴的な両頬の症状 ■クリニックにも患者が相次ぐ 筆者の勤務する首都圏のクリニックにも、リンゴ病と診断された患者さんが相次いだのはもちろん、近所でもリンゴ病にかかったらしき頬が真っ赤になったお子さんがいました。 感染が広がっているといっても、特別なワクチンや治療法はなく、ほとんどは軽症ですむ病気なので、過剰な心配はいりません。
ただし、妊娠中や免疫力が低下している方の感染は望ましくないので、妊婦さんやがんなどの治療で免疫力が落ちている方、またはそうした人がまわりにいる方は注意が必要です。 リンゴ病は医学用語で“伝染性紅斑”と呼ばれる、ヒトパルボウイルスB19というウイルスによる感染症です。最近の古代ゲノム研究では、1万年以上前のユーラシア大陸にウイルスの起源があり、その後人類の移動に伴って世界中に広がったと考えられています。
■感染経路・潜伏期間・主な症状 感染経路は、主に咳やくしゃみなどによる飛沫感染で、新型コロナパンデミックで普及した、〈手洗い・マスク、人混みを避ける、換気に気をつける〉などの基本的な感染対策が有効です。 リンゴ病の原因となるヒトパルボウイルスB19は、赤血球の元になる細胞に感染し、軽い免疫応答(免疫が反応すること)を引き起こします。 潜伏期間は4日~28日(平均16日)程度。初期の症状は風邪に似ており、発熱や倦怠感、筋肉痛、鼻水、喉の痛みなどが表れますが、ほとんどが軽度ですみます。また、半数の人はかかっても無症状といわれています。
ただ、この時期(潜伏期間~初期)は体内のウイルス量が多く、周囲に感染が広がりやすいと考えられています。 無症状が多いうえ、症状が軽いために見逃されやすく、また、やや特殊な検査で費用と時間もかかるため、医療機関でも疑いのある方全員に検査することができません。 こうしたことから、リンゴ病と診断されていない患者さんも多く、それが感染の広がりにつながっています。そもそも完全には防ぎようがない病気なので、こうした状況を理解しておくとよいでしょう。