医学用語で“伝染性紅斑” 警報レベルの大流行「リンゴ病」とはどんな病気か 子どもや妊婦、免疫力が低下している人は要注意
■両側の頬が赤くなる理由 感染した子どもは初期症状の後、リンゴ病の特徴である赤い発疹が表れます。これは、先に述べた免疫応答によって、頬などの血流が豊富な場所に軽い炎症が起こり、血管が拡張するためと考えられています。 この発疹は両頬に出ることが多く、真っ赤な頬になるので、日本では「リンゴ病」と呼ばれますが、頬を引っ叩かれたようにも見えるので、英語では「頬ぶたれ病 ”slapped cheek disease”」という名称で呼ばれています。
発疹は、頬だけでなく腕や脚、胴体にも広がり、レース状のピンク色の発疹となって出てくることもあります。一方で、成人の場合は発疹が目立たないことが多く、関節痛や倦怠感といった症状が主になります。 なお、一度消えた発疹が日光浴や入浴後、または興奮時に再び表れることがあります。ただ、これは再発ではなく、免疫系の反応による一時的な現象なので、心配しなくて大丈夫です。この発疹は数日から1週間程度で自然に消失することが多いようです。
■世界的な流行の背景は? 一般的にリンゴ病は世界中で発生しており、特に北米、欧州、東アジアなどの温帯地域では冬から春にかけて流行します。一度感染すると、ウイルスを免疫細胞が記憶する(終生免疫が獲得される)ため、再感染のリスクは低いとされています。 ヒトパルボウイルスB19に対する免疫を持つ人の割合は、成人では50%から80%程度ですが、子どもではその割合が低いため、感染リスクが高くなります。 小児の集団感染が学校や保育施設で報告されることもあり、流行時には地域全体での感染拡大が懸念されます。
過去の疫学調査によれば、流行のピークは5年から7年ごとに訪れる傾向があるようです。ただし、今回のリンゴ病の大流行に関しては、新型コロナパンデミックの影響が指摘されており、日本だけでなく、世界的な現象となっています。実際、新型コロナで外出制限などが行われていた2021年、2022年ごろは非常に少なくなっていました。 新型コロナに対する予防によって、ほかのさまざまな病原体への感染も減った結果、リンゴ病に対する集団免疫が低下。そこににぎわいが平常化し、人流が活発化したことで、今回の大流行となったのだと考えられます。これはマイコプラズマやインフルエンザなどでも同様です。