「サトシ・ナカモト」の正体を明らかに、HBOがドキュメンタリー放送
米ケーブルテレビ局のHBOは、サトシ・ナカモトの正体を知っていると主張している。 HBOは米時間10月8日、ドキュメンタリー番組『Money Electric: the Bitcoin Mystery(マネー・エレクトリック:ビットコイン・ミステリー)』を放送する。番組は、ビットコインの生みの親「サトシ・ナカモト」の正体を明らかにすると述べている。 ドキュメンタリーは、HBOの2021年のドキュメンタリーシリーズで、Qアノン陰謀論の黒幕をWebサイト「8kun」の管理者ロン・ワトキンス(Ron Watkins)氏であると明らかに、一躍有名になった調査報道ディレクターのカレン・ホバック(Cullen Hoback)氏が監督を務める。ワトキンス氏はQであることを否定しているが、2つの言語学的調査は、同氏がQの役割を南アフリカのコンピュータープログラマー、ポール・ファーバー(Paul Furber)氏から引き継いだことを明らかにした。 ホバック氏がサトシ・ナカモトの正体をも突き止めるほどの調査能力を持っているのなら、ビットコイン誕生以来の最大の謎に終止符が打たれることになる。
これまでの失敗
しかし、過去にサトシの正体を突き止めようとした多くのジャーナリストたちの努力は実らなかった。 2014年には、ニューズウィーク誌のジャーナリスト、リア・マクグラス・グッドマン(Leah McGrath Goodman)氏が『The Face Behind Bitcoin』という記事を発表し、カリフォルニア在住の日系アメリカ人、ドリアン・サトシ・ナカモト氏をビットコインの生みの親として特定した。しかし、ドリアン・ナカモト氏はビットコインについて聞いたこともないと否定し、生みの親であることを明確に否定した。グッドマン氏の主張はその後、他のジャーナリストによって徹底的に論破された。 翌年、テクノロジー誌『WIRED』は(現在、大幅に更新されているが)記事を発表し、オーストラリアのコンピューター科学者クレイグ・ライト(Craig Wright)氏がビットコインの生みの親である可能性を示した。 記事が発表された後、ライト氏はメディアに積極的に登場し、BBC、エコノミスト、GQなどに、自分がサトシであると語った。 しかし、ライト氏の主張はすぐに破綻し始めた。疑わしい取引や行動の経歴を持つライト氏が、オーストラリア税務署との係争を隠すため、またビットコイン・ホワイトペーパーの著作権を取得して金銭(と名声)を得るために、すべてをでっちあげたことが明らかになった。 ライト氏はまた、ビットコイン開発者や元協力者の家族を相手に訴訟を乱発した。裁判所命令によって、サトシの未使用の110万ビットコインへのアクセス権を得るためだ(ライト氏は、秘密鍵を保存していたハードドライブを踏みつけたことでアクセス権を失ったと主張した)。また、ライト氏を詐欺師と指摘した人物を訴えたり、訴えると脅迫した。 だが、ライト氏は実際には詐欺師だった。今年はじめ、英国の裁判所は、ライト氏はサトシ・ナカモトではないとする判決を下し、ライト氏に対し、自身のウェブサイトとソーシャルメディアのアカウントの両方で、ビットコインの生みの親ではないことを公に認めるよう命じた。ライト氏は(減り続ける支持者たちに対して)判決を不服として控訴する意向を表明している。