「サトシ・ナカモト」の正体を明らかに、HBOがドキュメンタリー放送
多くのサトシ候補者
その後、失敗を恐れてメディアはサトシの正体を明らかにする試みを控えてきた。また暗号資産(仮想通貨)業界も、サトシの正体は謎のままにしておくことが望ましいとの意見でほぼ一致している。米大手暗号資産取引所コインベース(Coinbase)は、株式公開に先立って提出した目論見書の中で、サトシの正体を暴くことは潜在的なビジネスリスクとまで述べている。 だが、サトシの正体に対する世間の好奇心が薄れたわけではない。初期のサイファーパンクのメンバーの誰かが、ビットコインの生みの親である可能性があるという説得力のある議論が続いている。 サトシ候補者として最もよく名前があるのは、コンピュータープログラマーのハル・フィニー(Hal Finney)氏(2014年に死去、ドリアン・サトシ・ナカモト氏の近所に住んでいた)、ビットコインからハードフォークしたビットゴールド(Bit Gold)の生みの親ニック・スザボ(Nick Szabo)氏、ハッシュキャッシュの開発者アダム・バック(Adam Back)氏、b-moneyの生みの親ウェイ・ダイ(Wei Dai)などだ。 彼らは皆、サトシではないと否定している。あまり一般的ではない説としては、元プログラマーで犯罪組織のボスで、現在服役中のポール・ルルー(Paul Le Roux)やCIA(米中央情報局)をあげる意見もある。また、サトシは一個人ではなく、プログラマーのグループだったとの説もある。
ポリマーケットでの予測
予測市場Polymarketでこのドキュメンタリーについての賭けに参加している人のうち、46%は別の人物に賭けている。暗号研究者のレン・サッサマン(Len Sassaman)氏だ。サッサマン氏は、サトシが暗号化についての初期のフォーラムだったBTCTalkへの投稿を止めた直後の2011年に自殺している。 ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のアレックス・ソーン(Alex Thorn)氏は、もしサッサマン氏がHBOのドキュメンタリーで、本当にサトシ・ナカモトとして特定されたのであれば、サッサマン氏がすでに亡くなっていることから、ビットコインにとっては「中立からポジティブ」とXに投稿した。 もしサトシがまだ生存しており、自身あるいは自身たちに関連付けられた110万ビットコインにアクセスでき、それが売却された場合、理論的にはビットコイン価格は下落する可能性がある。 documentary goes live on HBO 9pm ET wed 10/9 https://t.co/wcdBbNyQ0I ― Alex Thorn (@intangiblecoins) October 3, 2024 フィニー氏、スザボ氏、バック氏などのときと同様に、サッサマン氏がサトシ・ナカモトであるとする説得力のある議論が行われてきた。しかし、説得力のある議論は、証明ではない。HBOの新しいドキュメンタリーでは「これまでに見たことのない手がかり」が示唆されているが、真に決定的な証拠となるのは、サトシのビットコインの動きだ。だが、それを証明できる者はまだいない。 もしサトシ・ナカモトが亡くなっているか、あるいは公に名乗り出るつもりがない場合(たとえ現在の価値で約680億ドル、約10.2兆円相当のビットコインにアクセスしても)、謎は永遠に明らかにならないだろう。 |翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:サトシ・ナカモトは2008年のハロウィンの日にビットコイン・ホワイトペーパーを公開した(Jonathan Borba/Unsplash, modified by CoinDesk)|原文:HBO Is Joining Search for Bitcoin's Satoshi. Past Attempts Haven’t Turned Out Great.
CoinDesk Japan 編集部