能登半島地震の被災地での学びを地域に還元、大学生ボランティア「日頃の備えの重要性伝えたい」
能登半島地震や、被災地を襲った9月の記録的な大雨でも全国から多くのボランティアが集まった。全国社会福祉協議会によると、被災地となった石川、富山、新潟各県に入ったボランティアは、今月12日時点で延べ16万6851人に上る。
西九州大、足湯で被災者の要望くみ取る
近年、ボランティアには、復旧の手助けだけでなく、防災意識の啓発も期待されている。被災地の経験を伝える取り組みは、他大学でも広がっている。
長崎大(長崎市)のボランティアサークル「長崎Sip―S」のメンバー7人は9月、石川県輪島市で、仮設住宅などの住民たちと交流した。今月27日、学内で地域住民らを対象に、防災についての研修会を開き、被災地での経験を共有する。
西九州大(佐賀県)の社会福祉学科の学生と教員でつくる被災地支援チーム「OKBASE」は1~10月の11回、能登半島地震の被災地に入った。カセットコンロで湯を沸かして「足湯」を提供したり、被災家屋の片付けを手伝ったりした。
チームは5月、学内で報告会を開いた。聴講した学生約40人に対し、足湯を通じて被災者の要望をくみ取った体験などを説明した。副代表で3年の南里紗希さん(20)は「被災地の活動は重労働のイメージが強いが、足湯を提供して話を聴くこともボランティア。『自分にもできるかもしれない』と関心が高まればうれしい」と振り返った。
チーム代表の岡部由紀夫・同大准教授(47)(地域福祉)は「現場に行ったからこそ、被災者が本当に必要とする支援を理解できる。被災地に行ったメンバーが将来、地域の防災リーダーになってくれるのではないか」と期待を込める。