首位カープを支える救援投手陣が心に刻む「減らす勇気」とは? ブルペンでの球数を減らして現れた大きな成果
球数を減らし真ん中のみ
徹底した準備で入団4年目に通算100セーブを達成した守護神の栗林良吏も、入団から昨季まで3年間の15球から11球以下に球数を変えた。昨季まではブルペンでも内角、外角とコースにきっちり投げ分けて準備してきたが、今は肩をつくることだけを意識してすべて真ん中へ投げ込む。 「しっかり投げる準備をしているので、4球減っても問題はない。肩がつくれれば11球以下でもいいと思っている。最初に結果が出たことで大丈夫だと思えたところもあります」 試行段階だったオープン戦で好結果が出たことで不安はなくなった。入団3年目の昨季、初めて抑え以外のポジションで投げた経験も生きている。実際に11球以下でマウンドに上がった試合もある。 島内はセットアッパーとして8回、栗林はストッパーとして9回を任されている。役割が明確なので重責を担うが、登板までの逆算はできる。一方で、ほかの救援陣は登板のタイミングが読めないため準備も大変だ。 投球フォームをサイドスローに変えた塹江敦哉は、昨季までの13球前後から大胆に球数を減らした。 「開幕したばかりのころは“3球”でした。真っすぐとスライダーだけで3球。最近はカットボールとフォークも使うので、6球くらいです。バックアップの回数が増えると思っていたので、キャンプから準備していました」 フォームを変えたことで、左のワンポイントという新境地を切り開いた。特に先発投手の代え時を迎える試合中盤は慌ただしくなる。それでも、首脳陣の期待に応えられるよう、フォーム改造を決めたときから覚悟していた。投球練習以外で全身の筋力の体温を上げたり、プライオボールを用いたりして工夫を重ねた。 今季の登板数28試合はすでに昨季の8試合を大きく上回る。“左殺し”という役割で生きて行く覚悟を決め、首脳陣にとっても貴重な存在となった。 塹江とともに勝ちパターンを支える役割を担う森浦大輔は、昨季ブルペンでの球数を15球から10球に減らしたことに加え、マウンドで与えられる5球の投球練習も4球にとどめている。 「バッターが立ったとき、いい球を投げられるかは別なので。バテないように投げようと思って」 マウンド度胸と同じように表情をひとつも変えずに淡々と語る。新人から2年続けて50試合登板した経験は伊達じゃない。
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