阪神新入団ロジャースのここが凄い!スイング&打球スピードはMLBトップ級
分厚い胸板と丸太のような腕で、打撃練習では外野スタンドへ次々と放り込む。かと思いきや、ギリギリまでひきつけて、コンパクトなスイングで右方向へ合わせる。 6日に緊急来日、今日7日に阪神との正式な入団会見を行うジェイソン・ロジャース(29)のインディアナポリス・インディアンズでの打撃練習を見たが、体格に似合わず、器用な打撃を見せていた。もちろん、あくまでも打撃練習だが、その時近くにいたチーム関係者がこう教えてくれた。 「多分、日本へ行ったからといって、ホームランバッターになるとは思えない。でも、アベレージヒッターにはなれるのではないか。彼の打撃の特徴は、右方向への打球。あの体型のパワーヒッターなら、外角の球を強引に引っ張ることが多いが、逆らわず右に打てる技術がある」 確かに、ホームランバッターではない。ブルワーズの2Aでプレーした2013年は133試合に出場して549打席で22本塁打を放っているが、他の年はさほどでもなく、2015年にブルワーズに定着すると、86試合に出場し、169打席で4本塁打。今年はパイレーツの3Aでプレーし、282打席で9本塁打である。 一方で、今季の移籍が決まった時点での打率は.289で、ブルワーズにいた2015年は.296と3割近い数字を残しており、確かにアベレージヒッターのようだが、それ以上に彼の打者としての特徴を示しているのは出塁率の高さか。 今年は.362で、2015年はブルーワーズの3Aで33試合に出場し.449という数字が残っている。その年、ブルワーズでは.367だった。打席数に対する三振の確率は約20%なので、5打席に1回はする計算。ただ、打てなくてもそれなりに四球を選んで、出塁できるのかもしれない。 ただ、そうした一般的な打撃成績以上に注目したいのは、スイングスピードと打球の初速だ。 データが2015年と16年の2シーズンしかデータがないが、ロジャースの4シームを打って結果が出た場合のスイングスピードの平均値は64.7マイル(約104キロ)で、同2シーズンのリーグ平均59.8マイル(約96キロ)を上回っている。 また、64.7マイルは大リーグでもトップクラス。2015年と16年の2年間で4シームを打ち、それが50回以上、結果につながったケースの平均スピードを見ると、1位がミゲル・サノ(ツインズ)の66.5マイル(約107キロ)。64.7マイルは10位に相当し、ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)と同じだった。 日本だと楽天のカルロス・ペゲーロのスイングスピードが速いとされるが、サンプルが少ないものの、平均値は64.5マイル(約104キロ)なので、わずかながらロジャースが勝る。 2017年のスイングスピードのトップ10を別表にしたので参考にしてもらいたいが、ロジャースの2015、2016年の平均を今年のランキングに当てはめると18位。そうして、スイングスピードが速ければ速いほど、投手の球を長く見ることができると捉えられている。 国立スポーツ科学センターで野球打者のスイング技術の評価をテーマに研究している森下義隆さんによると、例えば、スイングスピードが100キロと90キロの選手がいるとして、ホームベース上の同じ地点で150キロのボールを捉えると仮定した場合、100キロの選手の方が、約60センチ分、ボールの軌道を見極めてからスイングを始動できるそうだ。それをいかせるかどうかは選手次第でもあるが、少しでも長く軌道を見られるということは、打者にとって有利に働くはずだ。