阪神新入団ロジャースのここが凄い!スイング&打球スピードはMLBトップ級
なお、スイングスピードが速ければ、打球の初速も連動し、打球が速ければ野手の反応時間が減るので、やはり打者にとってアドバンテージになるとされる。 ロジャースの打球初速の平均値は、2015年と16年の2年分を見ると、4シームを打って結果が出た場合、93.9マイル(約151キロ)だった。 その2年、4シームを打って50回以上結果につながった場合のランキングを見ると、1位がサノの96.5マイル(約155キロ)。ロジャースの平均値をあてはめれば19位タイで、ヨニエス・セスペデス(メッツ)と同じ。ヤンキースのゲーリー・サンチェス、ブルージェイズのジョシュ・ドナルドソンよりも速い。ペゲーロは92.6マイル(約149キロ)なので、彼よりも1マイル(約1.609キロ)以上速かった。 下に2017年の打球平均初速のランキングを表にした。今年のランキングに当てはめると24位に相当するが、いずれにしてもロジャースの打球の初速はスイングスピード同様、メジャーでも上位であり、なるほど、右打ちが得意なのは、ギリギリまで引きつけても、振り遅れないバットスピードがあるからこそ、対応できるのかもしれない。 結局、彼の場合、そうした数値に加え、打撃成績が決して悪くないのにメジャーに定着できなかったのは、スピードと守備力か。メジャーでは盗塁を試みたことさえなく、もちろん、盗塁はゼロ。今季は、イナーで5回走って、2回アウト。 ただ守備に関して、三塁や外野では、同じ守備位置の平均的な選手と比べて、どれだけ失点を防いだかを示すUZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)を見ると大きくマイナスなので、阪神でも緊急の場合しか起用しないはずだが、一塁に限れば、203回1/3を守った2015年のブルワーズ時代は0.9点とほぼリーグ平均だ。150試合あたりのUZR では5.1なので、かろうじて平均以上である。となると、一塁の守備に関しては、さほど心配しなくてもいいのではないか。 おそらく、日本での課題は、打撃そのものより、どれだけ早くストライクゾーンや、大リーグと比べれば変化球が多い日本の配球に馴染めるか。せめてキャンプ、オープン戦から参加していれば、多少なりとも準備はできるが、ぶっつけ本番である。 最初は苦労するだろう。しかし、ある程度我慢して使えば、それなりの結果を残すのではないか。本塁打は少なくとも、ラインドライブで野手の間を抜く打撃で、かつて阪神に在籍したマット・マートンのような率を残すかもしれない。ただ、そういう打者を阪神が求めていたのかどうかは分からないが。 ロジャースは最短17日からの1軍デビューが期待されている。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)