ドイツの「女性活躍」を具体的に感じたのは、こんなところでした『ダーリンは外国人』著者に聞く
日本と違って、ドイツでは「個人」が強い?
トニー:ドイツでは、現場の人の権限が強いのです。レストランでも、店員さんが「これは無料であげるよ」と言ってきたりする。そういう権限を与えられて働いているのですね。移民局も、当たる人によって厳しかったり、優しかったりします。英語を喋ってくれる人もいるし、喋ってくれない人もいます。書類などの手続きにまつわることでさえ、人によって言うことが違うのです。 さおり:「これをもってこい、これが足りない」と言われたので書類を持っていくと、次は違う人が出てきて全然違うことを言われたりなどが、日常的にあります。日本は割と「全体に適応されている」ルールがありますが、ドイツはそうではないのです。
夫妻から、海外に移住したい人たちへのアドバイスは
トニー:まずは仕事の問題がありますよね。僕たちは運がよくて、日本以外の国にいても仕事ができます。そして子供がいると教育問題が持ち上がります。さらに家庭内での言語はどうなるかという問題。現地の言語を使うのか、これまでの言語か…。 僕たちの場合は、医療と教育を重視しながら候補の国を絞り込んでいきました。言語の候補は、フランス語、英語、中国語などです。日本でそれぞれの国の幼稚園を見てまわり、言葉がわからなくても入れるかどうか交渉したりしました。まず親がその国の言語を少し学び、学校と交渉し、子供を1年くらい通わせてみて、それから本格的に移住…というのがいいのではと感じます。 さおり:会社の仲介などがなく自分たちのみで海外に移住するときは、覚悟をしてやらないと、かなり大変なことが多いです。親のどちらかだけでも現地の言語ができないと、さらに大変だろうなとは思います。 トニー:親が現地の言葉を学んで熱意を見せることが大切です。必ず勝つという気持ち、入学をダメと言われても「半年後に会いましょう!」と言えるくらいの心の強さを持ちましょう。 ただ、親も子供も言語を学ぶのが無理だと感じる場合、日本人学校に通わせるのもありだとは思います。 さおり:「とにかくやってみて、ダメだったら日本に戻る」というのでも良いと私は思います。旅でいくのと住むのとでは、見えてくるものが全然違います。日本の常識とまったく違う常識で動いている世界が見られるのは大きいです。 私は日本に戻ってくることが負けだとは思わないです。だって人生はその後も続いていくわけだから。 「勝つ」っていうのは、そのときどきで一番いいと思う道を選んで、それを繰り返して、自分がやりたいことをやりたいようにできるかだと思います。
オトナサローネ編集部 星雅代