生成AI を巡り音楽業界で不協和音広がる。進化が加速するなか倫理的整合性はどう保たれるのか?
権利保護と倫理的整合性を確保するための取り組み
ハイドラIIモデルを作成するために、ライトシファイはミュージシャンとの直接契約を通じて楽曲のライセンスを取得した。また、肖像権や生体認証の許諾も得ており(これはデータセットが特定可能な音声を含む場合、プライバシーへの影響を考慮すると特に重要である)、ハイドラIIの倫理的整合性を確保するためにフェアリートレインド(Fairly Trained)という組織と協力している。 ライセンスされたコンテンツのみで訓練された新しいAI音楽モデルを持つ別のスタートアップにフューチャーバースがあるが、同社は6月に完全にライセンスされた40の音楽カタログで学習させたジェンを発表した。フューチャーバースの共同創業者でCEOのシャラ・センダロフ氏によると、各楽曲に関わった全員の承認を得なければならなかったという。またその学習データは、著作権保護に抵触するものがないことを確認するために1億5000万曲のデータベースを通過し、その後AIが作成したすべての曲は、フラグが立てられていないことを確認するために2回目のデータベースを通過する。 With over 40 fully-licensed catalogs in our initial training set, Jen adheres to a strict training doctrine that emphasizes our commitment to transparency, compensation and copyright identification. pic.twitter.com/MXsSDp6K74 ─ Jen (@jenmusicai) June 20, 2024 ジェンのX投稿。初期トレーニングセットには40以上の完全ライセンスカタログがあり、透明性、補償金、著作権識別へのコミットメントを強調している ジェンが作成した各曲について、フューチャーバースはブロックチェーン上に暗号化されたハッシュを生成し、ソース素材とジェンが曲を作成したことの両方を検証する。フューチャーバースが完全なトレーニングセットを公開する予定があるかどうか尋ねると、センダロフ氏は公開しない理由として、「これは正しく行われなければならず、また自分たちの運命を自分たちでコントロールしたいため」と述べた。同氏はまた、AIの音楽モデルを訓練するライセンスアプローチがうまくいくことを示したいと考えている(フューチャーバースはまた、レコード/R3CORDと呼ばれる新しいプラットフォームも発表しており、ユーザーがクリエイターのためのマーケットプレイスを通じてトラックを録音、共有、販売できるようにした)。