年金は「60歳から」繰上げ受給が得って本当?損益分岐点をシミュレーション
2024年8月2日に厚生労働省は公的年金の収支決算を公表しました。「厚生年金保険・国民年金の令和5年度収支決算の概要」の歳入歳出差に注目すると、国民年金・厚生年金ともに前年よりも増加傾向にあり、黒字で着地していることが確認できます。 ◆【写真4枚】年金受給額を14万円と仮定して繰上げ受給した場合の損益分岐点をシミュレーション 老後の収入として欠かせない年金ですが、一体いつから受給できるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。本記事では、年金の繰上げ受給や受給年齢による損益分岐点を中心に解説していきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
年金は「60歳から」受給できるの?
年金は原則として65歳から受給できますが、希望すれば60歳から受け取ることも可能です。年金を65歳より早く受け取ることを繰上げ受給といいます。ここでは、繰上げ受給について詳しく解説していきます。 ●年金の繰上げ受給の概要 繰上げ受給は、60~65歳になるまでの期間に年金を受け取れる制度のことです。老齢年金を繰上げ受給するにあたって特別な要件は定められていないため、希望すれば請求月の翌月から年金を受け取れます。 60歳時点の所得を考慮して受け取りの判断をできるのがメリットです。ただし、繰上げ受給をする際は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に請求する必要があります。どちらか一方のみを繰上げ受給することはできないので注意が必要です。 また、年金の繰上げ受給を実施することで年金が減額されるのもおさえておきたいポイントです。では、具体的にいくら減額されるのか確認していきましょう。 ●繰上げ受給の減額率について 年金の減額率は、繰上げ受給を請求・申出をしたタイミングによって異なります。具体的には月単位で減額率が変わり、以下の計算式で導き出せます。 ・繰上げ減額率=0.4%×繰り上げた月数(60歳~64歳) 減額率は生涯変わることはないため、繰上げ受給を行う際はよく考えてから請求手続きを進めてみてください。 ●繰上げ受給を請求した際の注意点 繰上げ請求をするときは、以下の点に注意しましょう。 1.繰上げ請求を取り消すことはできない 2.国民年金の任意加入や保険料の追納ができなくなる 3.共済組合から支給される老齢年金も繰上げ請求することになる 4.65歳になるまでの期間に雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合、繰上げ受給している老齢厚生年金の全部または一部が支給停止となる 5.65歳になるまでの期間は遺族厚生年金や遺族共済年金などを併せて受給できない 6.事後重症などによる障害基礎年金を請求できなくなる 特に雇用保険の失業給付と、老齢厚生年金を同時に受け取れない点は注意が必要です。失業給付を受給していなくても、公共職業安定所で求職の申し込みをすることで、翌月から年金が支給停止になります。 次の章では、60歳から受給した場合と65歳から受給した場合の損益分岐点をシミュレーションしていきましょう。