【専門医が解説】フロスや歯間ブラシを使うのは、歯磨きの前?後? 正しい歯の磨き方をクイズとイラストで解説
◆歯と歯茎の間は45度の角度で! 「歯と歯茎の境目のところには、歯ブラシを45度に傾けて当て、毛先が歯周ポケットの内側に届くようにします」
◆奥歯はつま先を使って 「奥歯を磨くときは、歯ブラシのつま先(先端)部分を使って、歯の側面に沿って後ろ側まで回り込むようにして磨きます。口を閉じて磨くと歯の裏側まで届きやすくなります」
◆下前歯の裏側はかかとを使って 「下前歯の裏側を磨くときは、かかと(グリップに近い)部分を使うと磨きやすいでしょう」
◆凸凹部分や歯の裏は縦にして 「八重歯など歯並びがそろっていない部分や、上の前歯の裏を磨くときは、歯ブラシを縦に持ち、歯ブラシの脇を使って歯の凹凸に沿わせるようにして磨きます」 Q:歯磨剤は使わないか少量のほうがいい。 A:× 機能成分は有効に使うべき。 「以前は口の中が泡だらけになってしまい、磨けていないのに磨いた気分になるから歯磨剤はなくてもいいという考えがありました。しかし、最近の歯磨剤には、虫歯予防や歯周病予防に役立つフッ化物や殺菌成分といった成分をはじめ、疾病予防に役立つ効果が十分に含まれているので、賢く活用しましょう。量は一般的には1~2㎝くらいが目安ですが、製品によって異なるので用法・用量をよく守ってください」 Q:フロスや歯間ブラシは歯磨きの前に行う。 A:〇 前のほうが汚れがよく落ち、フッ化物も残りやすい。 「歯ブラシだけでは汚れは6~7割しか落とせないといわれています。それをサポートしてくれるのがデンタルフロスや歯間ブラシの併用です。最近では使用率も高くなっているようで、よく聞かれるのが、それらは歯磨きの前にするべきか? 後がいいのか? ということです。答えは前がベストです。 厳密には前でも後でも、使うことに意義があります。でもせっかく使うなら、前のほうがケアの効率がよいというデータが出ているのです」 歯学部の学生25人が、「フロス→歯ブラシ群」と「歯ブラシ→フロス群」に分けて実験を行った。すると、フロスが先のほうが、歯間部と全体の歯垢が有意に減少し、歯磨剤に入っているフッ化物濃度が高かったという結果に。 データ/Periodontol.2018,jul:89(7):824-832 Q:歯磨き後はしっかりゆすいだほうがいい。 A:× フッ化物を残すなら、ゆすぎは1回! 「特に虫歯予防に役立つフッ化物配合の歯磨剤を使っている場合は、ゆすぎすぎてしまうと、その効果が薄れてしまいます。その場合はしっかりと1回ゆすぐのがいいでしょう。軽く1回ではなく、隅々の汚れが残らないようにしっかりゆすぐことが大切です。 最近の私のおすすめは、ダブルブラッシング法です。これは1回目の歯磨きでは、歯磨剤なしか好みの歯磨剤で隅々までしっかり磨き、数回ゆすぎます。2回目はフッ化物配合の歯磨剤を使用して、歯ブラシで歯全体にのばすように軽く磨き、30㎖くらいの少量の水で1回しっかりとゆすぎます。 歯ブラシでこそげ落とした汚れも完璧に吐き出し、なおかつ目的の部分にフッ化物をとどまらせることもできるので、パーフェクトなケアになります」 【教えてくれたのは】 照山裕子さん 歯科医。歯学博士、厚生労働省歯科医師臨床研修指導医、東京医科歯科大学非常勤講師。口腔ケアに関心を持ってもらいたいと刊行した著書『歯科医が考案 毒出しうがい』(アスコム)がベストセラーに。近著に『新しい「歯」のトリセツ』(日経BP)がある。 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/山村浩子