<“ビジネスマン”トランプと外交でどう付き合うか>第二次政権10の見通しと日本が持つべき3つの視点
2024年11月8日付Foreign Policy誌(Web版)は、米国大統領選挙の結果を受けて、スティーブン・ウォルト(ハーバード大学教授)による第二期トランプ政権の見通しについての論説を掲載している。 トランプ大統領の第一話はひどいものであった。続編はそれより悪いものとなろう。24年米国大統領選挙の10の含意は次の通りである。 第一に、米国の政治はミステリーだ。世論調査は当てにならず、解説者達は大外れだった。トランプ陣営も選挙の結果に驚いたのではないか。 第二に、トランプは予測困難な存在であり続けるだろう。共和党内では意見の相違がある。現実主義者は欧州から足を洗い、アジアに注力して台湾へのコミットメントを強化すべきと主張している。一方、孤立主義者は、外国への関与から足を洗い、国内の行政国家を解体することに注力すべきと主張している。 第三に、リベラルな覇権は死んだ。トランプに投票した人達は、民主主義を広めることにも人権にも関心はなく、外国人を国外に出して欲しいと思っている。 第四に、貿易戦争の到来を心配すべきだ。トランプが保護主義者に問題を任せるのか、市場に依拠しているIT分野の新しい仲間の意見を聞くのか次第である。 第五に、欧州にとってまずい状況だ。トランプは、欧州連合(EU)を敵視してきた。一方、北大西洋条約機構(NATO)は米国国民から支持を得ており、NATOには止まりつつ、欧州の国々に対して、十分なことをしていないと非難する可能性が高い。 第六に、ウクライナにとっては本当にまずい状況だ。トランプは、米国のウクライナ支援を止めて、ウクライナは欧州の問題だと言いそうである。 第七に、中東の紛争は継続するだろう。トランプ政権となっても、中東の情勢は改善しない。トランプは、イスラエルがイランを攻撃することを抑えようとするかもしれないが、パレスチナ人の扱いは、ネタニヤフに自由にさせるだろう。 第八に、中国については見通しをつけられない。トランプは貿易で中国にきつく当たることは間違いない。中国に対する敵意は超党派での支持がある。一方、トランプは、アジアの同盟国と紛議を起こしそうで、台湾が中国から威嚇を受けたり攻撃を受けたりした際、台湾を支援するかについて疑念を持たれている。 第九に、トランプは気候変動に懐疑的であり、正しいエネルギー政策は化石燃料を「掘って掘って、掘りまくれ」であると主張する。