初老ジャパン92年ぶり快挙は「奇跡の連続」 中部スポーツ賞特別賞
中部運動記者クラブは2024年度の中部スポーツ賞を発表した。正賞は、パリ五輪で金メダルを獲得したレスリング女子53キロ級の藤波朱理選手(21)とフェンシング男子エペ個人の加納虹輝選手(27)、パリパラリンピックの競泳で金メダルを手にした鈴木孝幸選手(37)が選ばれた。また、功労賞には今季限りで現役引退したトヨタ自動車硬式野球部の佐竹功年選手(41)が選出された。 【写真】パリ五輪の総合馬術団体で銅メダルに輝いた「初老ジャパン」。声援を受けながらウィニングランをする(左から)田中利幸、北島隆三、大岩義明、戸本一真の各選手 名古屋市内で今月開かれた表彰式には、特別賞に選ばれたパリ五輪・総合馬術団体で銅メダルを獲得した大岩義明選手(48)と戸本一真選手(41)が出席した。 五輪に臨んだチームの平均年齢は41.5歳で、全員が昭和生まれであることから「初老ジャパン」とチームの愛称を決定。馬術競技では日本勢の92年ぶりとなるメダル獲得を果たした。 名古屋市出身の大岩選手は「今回の馬に乗り始めたのが今年2月で、パートナーとしてかなり短い時間だった。大きな壁はたくさんあったが、壁を乗り越えていくごとにメダルに近づいているのではないかという気持ちだった」と振り返った。 岐阜県本巣市出身の戸本選手は「今年6月までオリンピックに出場する権利を僕は持っていなかった。慌ただしく色々なことに挑戦し、奇跡の連続でたどり着いたメダルだった」と話した。 「初老ジャパン」は、「ユーキャン新語・流行語大賞」でトップテン入りするなど大きな反響があった。大岩選手は「キャッチーだったのかな。マイナーなスポーツなので、メダルをとったことで新たに知ってもらった方がたくさんいると思う」と言う。 戸本選手は今後、活動拠点を英国から日本に移し、若手の育成にも力を注ぐという。「馬術選手としては中堅に差し掛かったぐらいの年齢なので、ここからが一番いい10年だと思っている。チャンスが巡ってきたときに挑戦できるよう技術を磨いていきたい」 大岩選手は6大会連続の五輪出場をめざす。「銅メダルという結果はすごく良かったが、金メダルとの差はどうだったのかと思い直している。やはり銀も行けた、金も可能性があったんじゃないかと感じている。ロサンゼルス五輪では違う色のメダルを目指せるようにしっかり準備したい」と先を見据えた。(辻健治)
朝日新聞社