63歳で退職して「特別支給の厚生年金」と「失業給付」で暮らすつもりが、年金が「全額支給停止」に! 65歳未満は同時受給できないの? 注意点を解説
65歳未満で受給権が発生する特別支給の老齢厚生年金と、65歳から受給権が発生する通常の老齢厚生年金には、そのほかの制度との調整で大きく異なる点がありますが、制度が複雑でよく分かっていない人も多いかもしれません。 本記事では老齢厚生年金と雇用保険の失業給付との調整について、65歳未満と65歳以後でどう異なるかを解説します。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
基本手当などを受給すると年金は支給停止になる?
特別支給の老齢厚生年金など65歳になるまでの老齢厚生年金を受給している人が、雇用保険の失業給付(基本手当)を受給する場合、年金が全額支給停止となります。年金が支給停止される期間を調整対象期間と言います。 65歳未満で老齢厚生年金を受給中の人が退職し、ハローワークに求職の申込みを行うと、その翌月分の年金から全額支給停止となり、失業給付の受給期間が経過した月または所定給付日数を受け終わった月まで調整対象期間は続きます(調整対象期間中も65歳未満の場合)。 ただし、失業給付の受給期間中に失業給付を受けなかった月がある場合、その月分の年金は約3ヶ月後に支給されます。
基本手当受給後に年金は事後清算される
調整対象期間中に失業給付を受けた日が1日でもあれば、その月の年金は全額支給停止されます。その結果、失業給付を受けた日数が同じでも、年金が支給停止される月数が変わる場合があります。 そのため、失業給付の受給期間が経過した日または所定給付日数を受け終わった日以降に調整が行われ、年金がさかのぼって支給される事後精算という仕組みがあります。事後精算される年金支給月数は次のように計算されます。 ・年金停止月数-失業給付の支給対象となった日数÷30日(1未満の端数は切り上げ) 仮に年金停止月数が6ヶ月で失業給付の支給対象となった日数が130日だった場合、1ヶ月分の年金が支給されることになります。 失業給付を受けていない期間だけ支給される仕組みとなっており、支給停止となっていた期間の年金が全て支給されるわけではありません。