63歳で退職して「特別支給の厚生年金」と「失業給付」で暮らすつもりが、年金が「全額支給停止」に! 65歳未満は同時受給できないの? 注意点を解説
65歳以後は雇用保険と厚生年金の調整はなし
上記のように、老齢厚生年金と雇用保険の調整は65歳未満で受給する年金が対象です。65歳直前で退職し、65歳から通常の老齢厚生年金を受給しながら雇用保険の失業給付を受給しても年金の支給停止は起こらず、両方満額受給できます。 なお、65歳以降に退職すると、要件を満たせば、基本手当ではなく高年齢求職者給付金を受給できます。この給付金も老齢厚生年金との調整は発生せず、どちらも満額を受給できます。
働きながら年金を受け取る場合は65歳未満、65歳以後かは関係ない
しかし、働きながら年金を受けるときは65歳以降でも年金が支給停止になる可能性があります。70歳未満の人が厚生年金保険に加入したり、70歳以上の人が厚生年金の適用事業所で働いたりする場合は、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合(在職老齢年金)があります。 加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額と、総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12)の合計額が50万円を超えた場合、超えた額の2分の1が支給停止となります。 また、66歳以降に繰下げ待機中でも在職老齢年金で年金が支給停止となる場合は、在職老齢年金で支給停止になっていない部分の金額にのみ増額率が適用されますので注意が必要です。
まとめ
65歳未満で失業給付と特別支給の老齢厚生年金を同時に受給することはできません。失業給付を受ける(求職の申込みをした)場合、65歳未満で受給する老齢厚生年金は全額支給停止されます。 そうなった場合、思うような収入が得られず、前年の所得で計算される住民税や健康保険料などの社会保険料の支払いで家計がピンチになる可能性もあります。 ただし、老齢基礎年金(国民年金)は繰上げ受給しても雇用保険との調整や在職老齢年金の対象とならず、全額支給されます。家計に困ったときは、繰上げ受給も検討してみてはいかがでしょうか? 出典 日本年金機構 老齢年金ガイド 令和6年度版 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部