作家・麻布競馬場 SNS投稿から直木賞候補へ “タワマン文学”で孤独や絶望描くワケ
■「東京の若者はどうすれば幸せになりますか?」
地方と都市の格差から生まれる“分断”、そして平成から令和へと移る中で変化してきた“価値観”。これらから生まれた“人間の弱さ”を「なかったことにしたくない」と語る麻布さん。格差や孤独を描く著者にとって、今の時代の幸せとは。もがき苦しむ登場人物達が幸せを得るにはどうしたらよいのでしょうか。 ――それぞれが抱くどうしようもない虚しさ、受け入れがたい格差、それらとどう向き合い、折り合いをつけるのがよいと考えますか? やっぱり1作目を出した後に一番多く聞かれた質問がまさにそれで。「東京の若者はどうすれば幸せになりますか」って。何度も聞かれるたびに、口当たりのいいことを毎回答えてて「人それぞれ幸せが違うから、それを見つけていくことなんじゃないですかね」とか言ってたんですけど。その答えがどうしても見つからなかったんです。 むしろどうすれば人が幸せになれるかっていう問いそのものが、実は2冊目の執筆の原動力になったっていうのがあるなと思います。2作目では自分なりの答えが見つかったなと思います。 東京での挫折、虚無を描いてきた著者が見つけた「幸せ」の形とは―。2作目については後日お伝えします。