なぜ呼ばれない? 日本代表に招集されなかった実力者5人。アジアカップに必要だった?【アジアカップ2023】
FW:大迫勇也(おおさこ・ゆうや) 生年月日:1990年5月18日 所属クラブ:ヴィッセル神戸 2023リーグ戦成績:34試合22得点7アシスト 日本代表通算成績:57試合25得点8アシスト 今なお圧巻の活躍を披露しているベテラン日本人選手の1人が大迫勇也だ。昨季は主力としてリーグ戦22ゴールと大暴れし、ヴィッセル神戸を史上初の優勝へと導いた。また、ベストイレブン、最優秀選手賞(MVP)と個人賞も総なめとしており、改めて“半端ない”FWであることを証明した。 現在の日本代表は強度の高い守備から縦に速い攻撃をコンセプトに掲げているが、日本をリスペクトする国が多いAFCアジアカップではボールを持つ展開の方が長く、その特徴を余すことなく発揮するのは難しい。そうなった際、ワントップに求められるのはボールを収め2列目の選手を前向きでプレーさせるものやボックス内での勝負強さになるが、今回選ばれた浅野拓磨や前田大然は器用なタイプではなく、細谷真大もまだ経験値が浅い。上田綺世だけが攻撃面で幅広くチームを助けられる。 それを考えれば、大迫をスカッドに組み込むメリットは小さくない。決定力はもちろん、ポストプレーの上手さに関しては間違いなく現日本人選手の中でナンバーワン。クロスボールに対する強さもあり、何よりアジアでの戦い方を深く理解している。また前線からの守備に関しても、神戸で献身的な働きを見せており、チームにとってマイナスになることは考えにくい。 今後のステップを考えると大迫を中心にしたチーム作りをする必要はない。しかし、イラク代表戦のように是が非でも得点が欲しい状況で相手守備陣に怖さを与えられる“飛び道具”として、大迫がいるのはグループにとって心強いはずだ。他でもない、大迫だからこそ見てみたいと思える。
MF:鎌田大地(かまだ・だいち) 生年月日:1996年8月5日 所属クラブ:ラツィオ(イタリア) 23/24リーグ戦成績:16試合1得点1アシスト 日本代表通算成績:31試合7得点4アシスト フランクフルトで活躍し、ヨーロッパ中から注目を集めた鎌田大地は、昨年夏にミラン移籍に迫りながらもこれが実現せず。急転直下、ラツィオにフリー加入することとなった。今思えば、この時から歯車が狂っていたのかもしれない。 鎌田は加入当初こそ先発出場を続けていたが、強度の高い守備に定評のあるマテオ・ゲンドゥージが加入してからは同選手と大黒柱のルイス・アルベルトがインサイドハーフのファーストチョイスとなったことで、出場機会が減少。L・アルベルトの負傷離脱中は先発の機会があったが、背番号10が戻ってきた14日のレッチェ戦では出場できずに終わるなど、相変わらず序列は低いままだ。 そうした現状もあって、鎌田には早くも移籍の噂が絶えない。ここ最近ではトルコの強豪ガラタサライへの移籍が目前に迫っているとも報じられている。いずれにせよ、ラツィオで苦しい日々を送っていることが、AFCアジアカップカタール2023のメンバー選考に影響を与えたと考えて良さそうだ。 しかし、鎌田を呼ぶメリットはあったはずだ。現在の日本代表におけるダブルボランチの最適解は遠藤航と守田英正で、アタッキングサードで特徴を発揮するタイプではない。先日のイラク代表戦でもこの位置から攻撃の糸口を見出せていなかった。それを解決する意味でも、ポジショニングと配球力に優れリンクマンとして機能する鎌田は、クラブで不調とはいえ欲しい存在だった。今大会はゴールに絡むことができる田中碧もおらず、今後彼らの重要性を再確認する時がきたとしても不思議ではない。
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