“重大な脳疾患”のサインかも!? 「頭痛」を甘く見てはいけないワケ【医師解説】
病気が隠れているかもしれない頭痛の特徴
編集部: 二次性頭痛の原因には、どんなものがありますか? 工藤先生: 数ある二次性頭痛の中で、最も危険な疾患は「くも膜下出血」です。典型的な症状は突然の激しい頭痛で、吐き気を伴うこともあります。くも膜下出血の頭痛は、「ハンマーで殴られたような頭痛」「雷鳴頭痛」などとも言われます。脳卒中全般に言えることですが、非常に危険な病態なので、このような頭痛が出現した場合は早急に医療機関を受診しましょう。 編集部: 脳の病気が原因の場合もあるのですね。 工藤先生: そうですね。ほかには、「脳腫瘍」が頭痛を引き起こしていることもあります。くも膜下出血のようなわかりやすい特徴はないのですが、運動障害や呂律障害、失語などの言語障害が出た場合は脳腫瘍の可能性があります。あとは「髄膜炎」も注意が必要です。頭痛や吐き気のほかに、ひどい発熱を伴うのが特徴です。こちらも早急に受診しましょう。 編集部: ほかには、どんな原因がありますか? 工藤先生: 片側の顔面にビリッと電気が一瞬走るような痛みを感じる「三叉神経痛」も考えられます。目の下あたりから耳に向かって、あるいは下の顎から耳に向かって起きることが多いですね。痛み自体は一瞬で生じて一瞬でなくなります。顔面の感覚を司る「三叉神経」に血管が接触することで症状が出現します。稀に脳腫瘍などが隠れていることもあるので、脳の検査が必要です。 編集部: ちょっとした痛みでも、注意が必要なこともあるのですね。 工藤先生: はい。ほかにも、注意が必要な病態として「急性緑内障発作」があります。目の周りや頭全体が急に痛くなり、吐き気を伴う急性緑内障は、放っておくと数日で失明するリスクがあります。あとは「副鼻腔炎」ですね。鼻の上や奥、横など、ある特定の一部分に痛みが出るのが特徴です。
この頭痛は大丈夫? 受診する目安
編集部: 頭痛で受診するかの判断はどうしたらいいでしょうか? 工藤先生: 「普段は頭痛がなく、初めて頭痛を感じた」「もともと頭痛持ちだったけれど、数年ぶりに頭痛が起きた」といった場合は、速やかに受診することをおすすめします。また、緊張型頭痛や片頭痛は定期的に起こるけれど、いつもと違う性状の頭痛が生じた場合は、まったく新しい病気を発症しているかもしれないので、受診して検査をおこなう必要があります。一次性頭痛ではなく、二次性頭痛を発症した可能性があります。 編集部: ほかにも判断基準はありますか? 工藤先生: 突然の激しい頭痛のほか、吐き気・嘔吐、運動障害や呂律障害、失語、発熱などを伴った場合は、脳の病気という可能性もあるので受診しましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 工藤先生: 一次性頭痛であれば、基本的には脳の重大な病気ではないので、急いで受診する必要はありません。ただ、一次性頭痛でも頭痛外来や頭痛専門医などに相談すると、ロキソニン以外の薬の調合や処方、頭痛体操の指導、予防薬などの治療法などを提案してもらえることもあります。効果には個人差がありますが、改善することが多いので、諦めずに相談してみてください。