中川紅葉のエッセイ連載!24歳の誕生日を目前に控えて「“慣れ”が怖くなっていた」/ココロすっぴん#36
青山学院大学に在学する現役女子大生で、演技やバラエティなどマルチに活躍している中川紅葉さんによるエッセイ連載「ココロすっぴん」。かなりの読書家で、大学生・タレント・インフルエンサーなどのさまざまな顔を持つ彼女が日々感じたことを、忖度なく書き綴ります。 【写真】朝ごはんを食べながら今日の予定を考えている中川紅葉 ■#36「1年、無駄にしてた?」 この時期になると、数日後に迫った誕生日に向けた抱負を色んなところで訊かれる。数日で人間は生まれ変わったりできないものだし、そう求めないでほしいと思いつつ、また当たり障りのない真面目な回答をする。去年と変わらない答えに、この1年をどれほど無駄にしたかを実感させられる。 5年後、10年後のビジョンが全く見えなかった私が、今月になってようやく気がついたことがあった。誰かに喜んでもらいたいからこの仕事をしていると口にする時、必ずどこかで嘘をついている気持ちになっていたということ。それをいつも、見て見ぬふりをしていた。だから、「あなたのことがカッコよくて好きだ」と言ってくれる人たちにの言葉を真っ直ぐ受け止められなかった。 本当は多分、自分が肯定されたいから犠牲になることを選んだり、“難しい道をとった自分”を見せるのが上手いだけなのにと。誰かのためになることが「良し」とされている世界でこんなことを言うのは憚られるけれど、そこまで私はできた人間じゃないのだろうなと最近気がついた。 それと同時に、「慣れ」が怖くなっていた。あって当たり前だとか、されて当たり前だとか。そう自分が誰かに・何かに思ってしまっているんじゃないかと想像すると恐ろしい。最近はそんなことをよく思う。 ■停滞に気がついた今からの1年の方がチャンス 今までの私は、人間関係の慣れにとても敏感で、関係の飽和が起こりそうになるとすぐに逃げていた。それでも何年も付き合ってくれている友達に恵まれているなと実感できたのは本当に最近のこと。 けれども、環境の慣れには分かっているのに動けずにいた。沼地に足を取られながら、沈んでいくのをただ見ていた。動いて何もなくなることも怖かったから。だから派手に違う環境に動くことを無意識に避けていた。 いつか「自分が進みたい道を選べない」という人生相談を受けた。無責任な私は、どちらも選べば良いと答えた。彼女は前向きに良い言葉だと聞いてくれていたけれど、ずっとその返答が彼女に合っていたかどうか分からなかった。私の人生観の押し付けにならなければ良いなと。だって今の自分は、その“どちらも”を取るができなくなっているのに。 きっと23歳の自分とは大して変わることなんてできないんだろうけれど、それでも停滞に気がついた今からの1年の方がチャンスは多くなるはずだと信じている。執着もプライドも情も捨てた先に、自分のなりたかった像があればいいなと思う。そんな24歳になれますように。 ■【ヒトコト】 子供の頃流行ったプロフィール帳に「何歳で結婚したい?」という欄があった。そこに必ず24歳と書いていた私は、この数字にかなり重みを感じる。こんなわがままで自由奔放な私を誰が選ぶのだろう。そしてそもそも、私の思う24歳はこんな子供じゃなかった。 そんなことを一生言っているうちにおばあちゃんになっていくのだろうなと思っている。いつになったら予想の大人像と実年齢が追いつくのですか?