ヤクルト・奥川恭伸、秋季キャンプでつかんだ〝鈍感さ〟来季の完全復活へ新境地
【球界ここだけの話】完全復活に向けた新たなフェーズに入ったように感じる。ヤクルト・奥川恭伸投手(23)のことである。11月17日まで松山・坊っちゃんスタジアムで行われた秋季キャンプを完走。投げ込み、走り込み、ウエートトレーニングをこなす「今までの僕にとってはかなりハード」というメニューをやり抜いた。 【写真】言葉を交わす奥川と内山の「星稜コンビ」 10日の四国IL愛媛との練習試合に登板し、2回1安打無失点に抑えた際には、「しっかりこのキャンプ乗り切ればいい自信になると思います」と話しており、〝実りの秋〟を過ごしただろう。 石川・星稜高から入団5年目の今季は、右肘痛などの度重なるけがを乗り越えて復活。7試合の登板で、3勝2敗、防御率2・76をマークした。自身が掲げた秋季キャンプのテーマは「強さ」。投手陣に課された「中2日くらいのペースで100球」の投げ込みもやり切った。ウエートトレーニングや走り込みで体が重い中でのブルペン投球。体に負荷をかけ続けたことで、見えてきたものがあった。 「タフさというか、鈍感さというか、今まではトレーニングと、投げることを並行するのが嫌だったんですけど、自分に対する鈍感さみたいなものがこのキャンプでついてきている」 〝鈍感さ〟とは-。奥川は「僕はけが持ちだったので、どうしても張りがある中で投げることがすごく嫌だった」と説明する。右肘痛などの度重なるけがで思うように投げられない期間が長かったからこそ、自身の体の〝声〟を聞き、繊細に対応してきたが、秋季キャンプでは投げ込みとトレーニングの両立に成功。「それがけがにつながっていたという今までだったんですけど、(秋季キャンプでは)トレーニングをやりながら、しっかり投げることもできた。すごく成長」と新たな領域にたどり着いた。 高津監督も「忘れているもの、新しいものを発見するキャンプにしてほしいと伝えていた。そうやって何かに気づく、何かを思い出してくれるのはいいこと。今回勉強したことを今後に生かしてほしい」と期待した。 「来年は活躍する。1年間、けがをしないように」と奥川。来季を見据えるまなざしには闘志が宿っていた。(武田千怜)