二宮和也、莉子ら新キャストを得てパワーアップ! タイを舞台に事件を追う「インフォーマ -闇を生きる獣たち-」
タイでのロケが、スケール感と躍動感をアップ
本作の特徴であり大きな魅力のひとつに、タイ・バンコクでのロケーションがある。右も左もわからないままバンコクの空港に降り立った三島を、新キャラクターである「週刊タイムズ」の現地特派員兼通訳・広瀬(莉子)が迎えてアテンドするのだが、タイの開放的な空気感と広瀬のはつらつとしたキャラクターが相まって、「インフォーマ」の新規視聴者を歓迎する。そのムードづくりは、新シリーズとして大正解だろう。 一方で、前作のファンをニヤリとさせる目配せも忘れない。バンコクの大衆食堂で三島と木原が2年ぶりに再会する場面では、木原が焼いている肉を三島の顔に投げつける。これは前作で2人が初対面する場面と重なるやりとりだが、前作を知らなくても楽しめる。 第2話ではバンコクの街をトゥクトゥクとバイクで激走するカーチェイスあり、第3話では三島がバンコクの刑務所にぶち込まれて窮地に追い込まれる展開もあり。その後も警察、タイのマフィア、「闇バイト殺人事件」の黒幕らとの市街戦もありと、エンタメとしてスケールが大幅にアップしている。前作は東京の闇にうごめく面々の思惑がじっとりと交錯していたが、本作ではタイを舞台にしたことで湿度が下がり、間口が大きく広がった。
前作の大ファンだった二宮和也ほか、新キャストに注目
本作の最大の魅力はやはり、木原と三島のキャラクターにある。裏社会を生き抜く一匹狼(おおかみ)の木原は、見た目も関西弁もいかつく豪快で、大事な人を守り抜く情の厚さを併せ持つ。三島に対し、「おいポンコツ~」とバカにしながらも愛情がにじむ表情を見せる木原の人間味は、桐谷健太の真骨頂だ。 一方で、情報を扱う職業人として、男として、人として、すべてにおいて太刀打ちできない木原に翻弄(ほんろう)される三島は、己の無力さや不がいなさに何度も心が折れそうになる。心身ともにズタボロになりながらなんとか食らいついていく三島のガムシャラさは、佐野玲於だから出せるものだろう。逃げ出せばいいのに、ジャーナリストのプライド、いや、エゴのようなものに取りつかれた三島は火中の栗を拾いに行く。矛盾を抱えた巻き込まれ型主人公の三島から目が離せない。 新キャラクターもそれぞれ魅力を放っている。タイパートでは、前述したように広瀬を演じる莉子には華があり、闇バイト殺人事件を陰から操る鬼塚を演じる池内博之は声の魅力で視聴者をひき付け、彼の2人の手下を演じる兵頭功海とSUMIREはキャラクターの造形が秀逸だ。 兵頭は「下剋上球児」(TBS)の根室と同一人物とは思えない風貌にひょう変。SUMIREはしゃべることができないキャラクターを演じることで、彼女の謎めいた瞳の魅力が存分に発揮されている。前作にも出演している一ノ瀬ワタルの場を支配する力は圧倒的だ。 日本パートでは、前作がオンエアされるたびにSNSで絶賛していた二宮和也が警察官僚として出演し、「闇バイト殺人事件」に興味を示す。前作のラストで死んだと思われていた、木原の因縁の相手・冴木亮平(森田剛)の登場も発表済みだ。日本とタイの誰もが狙う「マイクロチップ」の中身はなんなのか? その謎を推進力に突き進んだ先に何があるのか、最後まで見届けたい。 「インフォーマ -闇を生きる獣たち-」はABEMAにて独占配信中。
映画ライター 須永貴子