今や希少! JR「パノラマグリーン車」もう流行らない? 開発中の新型に採用なら30年ぶり
下火になったパノラマグリーン車 新型385系に期待?
251系の後継車両であるE261系電車「サフィール踊り子」も、運転台越しの前面展望が一応は可能なのですが、窓の位置が上すぎて、座席上で正座でもしないと前が見えないのは残念です。 JR西日本は1989(平成元)年、特急「雷鳥」の最高速度を130km/hに引き上げ、さらに改造でパノラマグリーン車を連結させて「スーパー雷鳥」とします。しかし北陸本線の特急でのパノラマグリーン車は、1995(平成7)年の681系電車以降は踏襲されませんでした。 JR四国では、1989年の2000系気動車、1992年の8000系電車で前面展望可能なグリーン車が登場しますが、運転席と客室のあいだにデッキがあるため前があまりよく見えず、「パノラマグリーン車」とは言い難い設備です。なお2003(平成15)年に登場した快速「マリンライナー」用5000系電車には、運転台越しの前面展望が可能なグリーン車が連結されています。 JR九州は1994年、883系電車「ソニック」のグリーン車に、前面展望可能なフリースペースを備えましたが、いささか中途半端でした。そしてこのころから、JR特急形車両の前面展望は重視されなくなります。 観光用特急車両ではない純粋な特急形電車で、最後に運転台越しの「パノラマグリーン車」を備えたのは、1996(平成8)年登場のJR西日本283系電車「オーシャンアロー」でした。283系は非貫通型グリーン車で、紀勢本線の素晴らしい海の景色を現在でも楽しめます。 今なおしっかりと前が見える構造をしたパノラマグリーン車は、JR東海383系、JR西日本283系、JR九州783系のみとなっています。 なお、383系の後継車両となる385系電車が現在開発中であり、2026年に量産先行車が完成するそうです。久しぶりの前面展望可能なパノラマグリーン車となる見込みであり、JRの展望可能グリーン車の系譜は、辛うじて続きそうです。
安藤昌季(乗りものライター)