国内唯一の工場…それは“カップアイスの木のヘラ” 全焼から復活!新たな挑戦へ 北海道津別町
金型で抜き取るとようやくヘラの形になります。 品質を左右するのは表面の滑らかさ。 絶えず刃を研ぎながら作業を続けます。 (相富木材加工 土田京一さん)「安心安全が担保されないとだめなので、結構気を使いますよね」
”木のヘラ”用途は食品以外にも 安全性が求められるワケとは?
高い安全性が求められるのには理由があります。 札幌市内の診療所です。 口や喉をみる器具に木のヘラが使われています。
(わたなべ小児科・アレルギー科クリニック 渡辺徹院長)「外で診察をしたり隔離室で診察するときに使わせてもらっている。使い捨てで後始末が要らない。感染防止という意味合いを考えるとかなりメリットがある。非常に表面が滑らかじゃないと、傷をつけたりしたら大変なことになる。だから製造する側も神経を使って作っていると思う」
相富木材加工は1944年に創業。 アイス用のヘラを看板商品に売り上げを伸ばしてきました。 しかし、やがて低価格の中国製品に押され、事業の縮小を余儀なくされました。
さらに7年前、木を煮る釜から火が出て火災が発生。 風が強かったことも災いし、工場は全焼しました。
(相富木材加工 土田京一さん)「みんな火事のときの爪あとなんですよね。本当に全部燃えたので、日本で唯一の会社なので、日本でここにしかない機械ばかりなので、これは直らないだろうと」 それでも6000万円の借金をして再建を決意。 国産にこだわる得意先の後押しもあり、8か月かけて建物や機械を修理しました。
(相富木材加工 土田京一さん)「海外のものはうちは無理だと言ってくれる会社もあったので、そう簡単に『はい、やめます』とはならないぞと」
火災を乗り越え、新商品の開発!魅力はやっぱり木のぬくもり
生き残りをかけて新たな製品も開発中です。 (相富木材加工 土田京一さん)「どうだい、印字不良とかないかい。曲がって印字されたり。大丈夫そうだね」
レーザーを使ってアザラシやシマエナガを描いたコーヒーマドラーです。 (相富木材加工 土田京一さん)「使い捨てだから、処理に衛生面でいいのと、やっぱりぬくもりですかね。冷たさがないから、やわらかさ、あったかさ、そこじゃないですかね。これが相富木材の製品だって手にもって知ってもらいたい」
火災を乗り越え再出発した小さな工場。 安心安全な木のぬくもりを届けます。