米ステート・ストリート銀、トークン化案件着手へ──デジタル資産カストディも視野に業務提携
44.3兆ドル(約6420兆円、1ドル=145円換算)の資産を管理する世界的なカストディ銀行のステート・ストリート(State Street)は、米国が好意的な規制環境になるのを見越して、デジタル資産サービスを提供するために暗号資産(仮想通貨)カストディおよびトークン化を専門とするタウラス(Taurus)と手を組むことを選んだ。 ステートストリートによると、同行は、伝統的な資産のトークン化したバージョンを取り扱うことに当初の焦点を当てており、その後すぐに最初の顧客の名前が明かされる予定だという。 デジタル資産を管理することは、ステート・ストリートのようなカストディの専門家にとって自然な役割であるが、米国の銀行は、デジタル資産の保全義務に関して証券取引委員会(SEC)がガイダンスとして提案した職員会計公報(SAB 121)という大きなハードルに直面している。これは、顧客の暗号資産を保有したいという企業に制限を課すものである。 ステート・ストリートのチーフ・プロダクト・オフィサー兼デジタル資産ソリューション責任者のドナ・ミルロッド(Donna Milrod)氏は、SAB121を変更する必要性について同行が「非常に声高に主張してきた」と述べる。同氏は、SAB121によって、暗号資産を保有しようとする銀行はリスクを補うために多額の資本を維持することを余儀なくされる可能性があるという。
トークン化案件の先
「我々はまずトークン化から着手するが、それで終わりではない」とミルロッド氏はインタビューで語った。「米国の規制が我々に好意的なものになれば、デジタル・カストディ・サービスも提供するだろう。我々はカストディアンとしての在り方を熟知している。我々は業務を自らのバランスシート上ではなく、バランスシート外において取り扱うため、我々の資産とはならない。」 スイスを拠点とするタウラスの共同創業者兼マネージングパートナーであるラミン・ブラヒミ(Lamine Brahimi)氏は、24時間365日の取引や担保管理の最適化などトークン化の利点を指摘するとともに、米国における規制環境を改善する必要性を訴えた。 「ステート・ストリートとの提携は、SAB121が原因で欧州に遅れを取っている米国の金融市場全体にとって前向きなシグナルになると確信している」とブラヒミ氏はインタビューで語った。 ステートストリートはブロックチェーン技術とデジタル資産の分野に長く携わっており、最近では暗号資産保管会社コッパー(Copper)と提携していた。その後コッパーは保管業務から転換し、ClearLoop決済システムに注力している。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Shutterstock|原文:State Street Selects Taurus for Crypto Custody, Tokenization
CoinDesk Japan 編集部